なぜ欧米メーカーの中古機械は日本で売却が難しいのか?
TRUMPF、Hermle、Vollmer(ドイツ)、ENGEL(オーストリア)、Mikron、Reishauer(スイス)、Gleason(アメリカ) など、海外メーカーの機械導入は一定数あるにもかかわらず、中古になると極端に値段が下がってしまうケースは少なくありません。
新品では「高性能・高剛性・世界的ブランド」と評価されているにも関わらず、いざ売却しようとすると日本国内では驚くほど査定がつかない──。
このギャップに頭を抱えている工場長や経営者の方はとても多いです。
なぜここまで落差が生まれるのでしょうか。
その背景には、日本特有の機械文化があります。
日本の工作機械ユーザーは FANUC や国産メーカーの制御・操作性に慣れきっており、シーメンス(Siemens)やハイデンハイン(Heidenhain) 制御の欧州機に対して 「扱いにくいのでは?」「修理費が高そう」といった心理的なハードルを持っています。
さらに、欧州メーカーは部品価格・サービス費用が高額になりやすく、
中古で導入しようとする国内企業が非常に少ないのが現実です。
その結果、国内中古市場では欧米メーカーに関する正確な相場情報が不足し、
正当な価値がつかないまま“二束三文”で扱われてしまう状況が続いています。
しかし、この状況はあくまで「日本国内だけ」の話です。
実は、DMG、Hermle、Mikron、TRUMPF、Vollmer などの欧州ブランドは、
中国・韓国・台湾・東南アジアでは日本以上にブランド力が強く、高値で取引される市場があるのです。
「日本では売れない中古機械でも、アジアへ輸出すればむしろ高く売れる」
そんな逆転現象が普通に起きています。
この記事では、なぜ日本では評価されず、海外で高く売れるのかという背景と、
カテゴリ別に“輸出すべき欧州メーカー一覧”を見出し付きで詳しく紹介します。
国内で売れずに困っている機械がある方は、ぜひ参考にしてください。
日本で売れない理由と海外で売れる理由
まず、日本で欧米メーカーの中古機が売れない理由は次の通りです。
● 日本では売れない理由
- シーメンス(Siemens)/ハイデンハイン(Heidenhain) 制御が敬遠される
国内は FANUC 一強文化。欧州制御に慣れた技術者が少なく、中古導入を避ける傾向があります。 - 欧州機のメンテ費用が高い
部品代が高額・納期が長いなどの理由で、古い欧米機に手を出しにくい状況です。 - 中古市場が形成されていない
国内で流通量が少なく、査定基準が確立していないため、過小評価されやすくなっています。
● 海外(アジア)で売れる理由
逆に、中国・韓国・台湾では事情がまったく違います。
- 欧州ブランドへの強い信頼
DMG、Hermle、Mikron、TRUMPF、Vollmer などは「高級」「高精度」の象徴として扱われます。 - 欧州機の中古市場が成熟している
アジアでは欧州機を中古で導入する文化があり、市場規模も大きいのが特徴です。 - 五軸・高速加工・精密工具研削の欧州機を好む加工業が多い
中国・韓国・台湾には金型・工具・自動車・EV分野が巨大で、欧州機の性能がそのまま価値になります。
● 価値の転換
日本では「売れない中古機」でも、アジアでは「欲しがられるブランド品」。
まさに “国内NGでもアジアなら売れる” という構図が成立しています。
カテゴリ別 欧米メーカーリスト
工作機械
DMG Mori(ディーエムジー・モリ)
国内では Siemens 制御ゆえ中古が弱いものの、中国・韓国では五軸加工機として強い需要があります。
Hermle(ヘルムレ)
日本中古は希薄ですが、中国の金型業界ではトップクラスの人気を持つ高級ブランドです。
Mikron / GF(ミクロン/GF)
国内よりも、台湾・中国の精密金型メーカーからの引き合いが強いメーカーです。
Heller(ヘラー)
国内では横型マシニングセンタの中古が弱い一方で、中国の自動車工場では安定した需要があります。
TOS / ZPS(トス/ゼットピーエス)
日本では低評価になりがちですが、中国・ベトナムでは“欧州機”として一定の価値が付きます。
B. 歯車加工機
Reishauer(ライスハウァー)
日本では中古の評価が難しいものの、中国・韓国のギヤメーカーが好んで購入するブランドです。
Klingelnberg(クリンゲルンベルク)
歯車加工機・測定機ともにアジアで強く、日本の中古相場より高くなることが多いメーカーです。
Liebherr(リープヘル)
国内中古は流通が少ないですが、中国の自動車ギヤライン向けに需要があります。
Pfauter(プファウター)
日本よりも、台湾・韓国のギヤメーカーからの引き合いが強い欧州メーカーです。
KAPP NILES(カップナイルス)
国内では扱い手が少ないものの、中国・韓国では現役導入が続く歯車研削ブランドです。
C. 研削盤
Studer(ストューダー)
国内では国産メーカーが強く中古が弱いですが、中国の金型業界で絶大な支持があります。
Kellenberger(ケレンベルガー)
部品費の問題で国内中古は弱い一方、台湾・中国で精密研削用途として人気です。
Jones & Shipman(ジョーンズ&シップマン)
日本では古い機械扱いですが、アジアでは修理前提で導入されるケースが多いです。
Blohm(ブローム)
大型研削は国内市場が小さく、中国工場向けの需要が中心となります。
ELB-Schliff(イーエルビー)
日本よりも、韓国・中国の重工企業の方が積極的に採用する研削メーカーです。
D. 工具研削盤
Walter(ワルター)
国内で扱いが限定される一方、中国・韓国では工具製造の定番ブランドです。
ANCA(アンカ)
日本中古は弱いですが、中国・台湾の超硬工具業界で強い需要があります。
Rollomatic(ロロマティック)
中国・韓国の高精密工具分野で、高額で取引されることの多いメーカーです。
Vollmer(フォルマー)
日本では中古流通が少ないものの、アジアの刃物・工具分野ではブランド認知が高いメーカーです。

E.ワイヤー放電加工機(EDM)
Agie(アジエ)
日本では三菱・牧野に押されますが、台湾・中国では一定の人気があります。
Charmilles(シャルミール)
部品供給の問題で国内中古は弱い一方、アジアの金型業界で需要が続いています。
AgieCharmilles(アジエシャルミール)
日本よりも、台湾・韓国の金型工場の方が評価が高いブランドです。
F. プレス
Schuler(シュラー)
国内はアマダ・アイダ偏重で中古が弱いですが、中国・韓国の自動車工場で需要があります。
Müller Weingarten(ミュラー・ワインガルテン)
日本では扱い手が少ないものの、中国のライン更新需要で高い評価を得ています。
Bliss(ブリス)
国内では古い米国製として評価が低いですが、アジアでは修理して使う文化があり人気です。
Clearing / Verson(クリアリング/バーソン)
国内需要はほぼゼロですが、中国・韓国の大型プレス需要とマッチします。
G. 射出成形機
ENGEL(エンゲル)
国内中古は弱いですが、中国・台湾では高級中古として歓迎されるメーカーです。
ARBURG(アーブルグ)
日本よりも、中国・台湾の中堅成形メーカーで需要が強いブランドです。
Krauss-Maffei(クラウスマッファイ)
日本中古では売れにくいものの、アジアでは大型成形機として人気があります。
Battenfeld(バッテンフェルト)
国内評価は低いですが、台湾・東南アジアで流通量が多い射出成形機です。
H. 板金機械
TRUMPF(トルンプ)
日本ではアマダ一強で中古が弱いですが、中国では絶対的ブランドとして扱われます。
Bystronic(バイストロニック)
韓国・台湾でアマダと並ぶ存在となっており、中古の動きも良いメーカーです。
LVD(エルブイディ)
国内評価は低いですが、アジアでは欧州ラインとしての価値が高い板金機械メーカーです。
Prima Power(プリマパワー)
日本よりもアジアでパンチ・レーザー複合機が流通しています。
Salvagnini(サルヴァニーニ)
国内では自動化ライン中古が動きにくい一方、アジアでは導入企業が多く、中古需要も見込めます。
まとめ
欧米メーカーの中古機械は、
“日本では二束三文だがアジアでは高く売れる”
という市場構造がはっきり存在します。
特に、DMG、Hermle、TRUMPF、Walter、Vollmer、Reishauer などは、
国内相場と海外相場の差が非常に大きい機種が多いため、国内業者だけで査定を完結させるのは危険です。
海外ルートを持つ買取会社であれば、
中国・韓国・台湾市場のニーズを踏まえて“輸出相場”で査定できます。
もし、手元に「売れない欧米メーカーの機械」があり困っている場合は、
国内評価に縛られず、ぜひ一度海外向け査定を検討してみてください。




