
誘導加熱(IH加熱)装置 を廃棄せずに収益を得る方法とは?
工場の設備更新・ライン統廃合・事業撤退の場面で、最も価値を誤認されやすい設備のひとつが、誘導加熱(IH)装置です。
「古い設備だから価値はないだろう」
「電源装置とコイルのセットだし、スクラップ程度では?」
「重いし面倒だから解体業者に任せて処分でいい」
こうした判断から、本来であれば中古で50万〜500万円以上の価値が付く装置が、産廃として破砕・廃棄されてしまうケースが非常に多いのが実情です。
誘導加熱装置は、工場のジャンルによっては「売って初めて価値を知る設備」です。
本ガイドでは、経営者の方に向けて以下のテーマをわかりやすく整理します。
- 誘導加熱装置とは何か(経営目線でわかりやすく)
- 中古で高額になるIH装置の種類・メーカー・仕様
- 買取額に大きく差が出る「価値のあるもの・ないもの」
- 廃棄と売却の価格差(誤廃棄の損失試算)
- 法規制・高電圧設備のリスクと、撤去前相談の重要性
- 搬出時に壊されると価値がゼロになる構造的特徴
- 売却前に準備すべきデータ・写真リスト
- 最終的にいつ相談すべきか(CTA)
誘導加熱(IH)装置について
IH加熱装置は、電磁誘導で金属を瞬時に加熱する設備で、
鍛造、焼入れ、ロー付け、熱処理、金型予熱、シャフト加熱など様々な工場で使用されます。
設備としての特長は、次のような点です。
- 単価が高い(新品は数百万円〜数千万円)
- 消耗しても再利用できるパーツが多い
- 電源装置は中古でも需要がある
- 海外(特にアジア)で非常に人気がある
特にヒートトリートメント工場、金属加工、鍛造メーカー、シャフトメーカー、自動車部品工場ではIH装置の使用率が高く、
中古売却のチャンスが多い設備です。
中古で高額になるIH加熱装置の種類
IH装置と一口に言っても、価値が大きく異なります。
ここでは「中古でも高額なタイプ」をまとめます。
高周波誘導加熱装置(HFタイプ)
最も中古価格が高いジャンルです。
- 10kW~200kWクラスは国内・海外ニーズが非常に強い
- 200kW以上の大型は希少性が高く高額化しやすい
- 鍛造ライン・シャフト加熱で特に評価される
高額メーカーの例
- 富士電機
- 日本電子応用(NEA)
- アマダウエルドテック(旧ミヤチ)
- 住友重機械工業
- オリエンタルエンジニアリング
これらは故障していても電源部だけで値が付くことがあります。
中周波誘導加熱装置(MFタイプ)
鍛造・熱間プレス・鋳造などで使用される装置です。
- 高出力(100kW~1000kW)で価値が大きい
- コイル・インバータ・チョークのセットで査定アップ
- 海外需要が特に強い(インド・東南アジア・中国)
MF装置は大型ですが、中古だからこそ需要が高い設備です。
焼入れ装置(シャフト用・ギヤ用)
シャフトメーカー、自動車部品系で使用されるIH焼入れ装置も高額になりやすいジャンルです。
- ギヤ焼入れ用コイル
- シャフト対応コイル
- 冷却ユニット(スプレー部)
これらがセットで揃っている場合、査定が一気に上がることも珍しくありません。
価値が高くなる仕様と、逆に値が付かない仕様
中古市場の実務から、価値の差が大きい条件を整理します。
価値が高い仕様
- 高周波(HF)、中周波(MF)の現行方式
- インバータ制御タイプ
- 電源容量が整っている(100kVA〜)
- 制御盤が残っている
- コイルが複数付属している
- 年式10〜20年以内
- 故障していても修理可能なモデル(部品供給がある)
メーカー名・型式が残っているだけでも査定は可能です。
価値が付かない・付きにくい仕様
- 超旧式のサイリスタ方式(30年以上前)
- ノーブランドの海外メーカー製で修理不可
- 電源部が焼損している
- コイル・ケーブルがほとんど欠品している
- 一体型で搬出困難な特殊機(再利用先が限定される)
ただし、「壊れていても電源部だけ欲しい」という海外バイヤーも多く、
完全なジャンクであっても可能性はゼロではありません。
誤廃棄は数百万円の損失に?
経営判断で大切なのは、「価格差の具体的なイメージ」です。
ここでは例示として、よくある規模の装置を試算します。
例:100kW 高周波IH加熱装置(年式10年)
廃棄した場合(スクラップ扱い)
- 鉄・銅としての価値:2万円〜5万円程度
- 解体費・搬出費:10万〜30万円
- 電源分解の手間:追加費用発生の可能性あり
結果として、実質的に10〜30万円の「支払い」になるケースが多くなります。
リユースとして買取された場合
- 中古買取価格:50万円〜300万円以上(状態・メーカー・仕様により変動)
- 海外向け再販の場合:さらに高額になるケースもあり
差額:最大で300万円以上の逸失利益になることも珍しくありません。
IH装置は構造が複雑であるため、設備担当者が「古そうだから処分で」と判断した瞬間に、
数百万円の価値を捨てることにつながる可能性があります。
法規制・リスクにご注意を
IH加熱装置の撤去には、次のような法規制とリスクが伴います。
300V以上の高電圧設備 → 資格者の作業が必要
誤った撤去は感電事故や火災につながるため、
電気工事士・高圧資格者による作業が必須です。
解体業者や設備業者が安易に分解しようとすると、
電源部の破損により中古価値がゼロになることも珍しくありません。
産廃扱いになった瞬間に排出事業者責任が発生
IH装置を「廃棄」と判断した場合、廃棄物処理法のもと、
- 排出事業者責任
- マニフェスト管理義務
- 処分費の支払い
が発生します。
逆に「売却(有価物)」として扱えば、産廃コストがゼロになり、むしろ利益が残ります。
冷却水・油・絶縁材の処理も注意
IH装置には、
- 冷却水(クーラント)
- 絶縁油
- 水冷ケーブル内部の液体
が残っていることが多く、不適切な処理は環境法令違反になる可能性もあります。
「とりあえずバラして捨てる」という判断は非常に危険です。
搬出の難易度と価値喪失リスク
IH装置は精密設備のため、搬出時の破損で価値が消えることがあります。
よくある「価値喪失」の例
- フォークリフトの爪で電源筐体を突き破る
- コイル・ケーブルを無造作に切断してしまう
- 制御盤を衝撃で破損させてしまう
- クレーン作業中の転倒・落下
- インバータ基板の落下・水濡れで再利用不可になる
これらはすべて再販不可(買取不可)につながる事故です。
撤去方法ひとつで、数十万〜数百万円の価値を失う可能性があることを忘れてはいけません。
査定前にはお写真のご準備を
以下の情報があれば、現地に伺う前でも概算査定が可能です。
必要な写真
- 銘板(メーカー・型式・kW・年式)
- 電源部の外観と内部
- コイルの種類・本数(シャフト用、リング用など)
- 制御盤の内部
- 設置状況(床置き・架台・周囲スペース)
- 搬出動線(入口の寸法・段差・クレーン設置可否)
できれば欲しい情報
- 使用履歴(稼働率・用途)
- 故障歴
- メンテナンス日誌
- 電源容量(kVA)
情報が不足していても査定は可能ですが、揃っているほど正確な価格を提示できます。
まとめ|IH誘導加熱装置はリユースもご検討下さい
誘導加熱(IH)装置は、次の特徴を持つ設備です。
- 新品価格が非常に高い
- 中古需要が国内・海外で強い
- 故障品でも価値が付く場合が多い
- 廃棄すると産廃コストが発生する
- 撤去方法によっては価値がゼロになる
だからこそ、
「撤去前に必ず相談する」
「処分ではなく売却の可能性を確認する」
これが最も大切なポイントです。
誤った判断で廃棄してしまえば、
数十万〜数百万円規模の利益を失う可能性がある設備です。
工場の移転・閉鎖・ライン更新・設備入れ替えのご予定があれば、
まずは一度ご相談ください。
現地調査前でも、写真と型式だけで概算査定が可能です。