主軸・ボールねじ・サーボ…費用と判断基準を徹底解説
工作機械の修理費は、想像以上に高額になることがあります。
特に、主軸やボールねじ、サーボアンプといった機械の心臓部にあたる部品が故障すると、数十万円から場合によっては数百万円の修理費が発生します。
本記事では、マシニングセンタ・NC旋盤・プレス機・射出成形機・板金機械の5ジャンルを対象に、「高額修理が発生しやすい部品」をランキング形式で整理しました。
故障の原因・交換費用の相場・延命の可否・買い替え判断の基準まで網羅し、修理検討時に必要な情報をまとめています。
<弊社では修理に関する具体的なアドバイスはできませんが、部品の購入は可能です。お探しの部品がございましたらご相談下さい。>
はじめに|なぜ工作機械の修理費は高額になるのか
工作機械の修理費が高額化する背景には、大きく分けて以下の3つの要因があります。
1. 高精度部品そのものが高価である
主軸やボールねじ、レーザー発振器などは、製造精度や設計品質が非常に高く、部品自体が高額です。
また、同じ型式であっても仕様変更や改良がされていることがあり、互換性のある部品が限られるため、代替品の確保が難しい場合もあります。
2. 交換作業の工数が多く、工賃が高額になる
スピンドルやボールねじの交換は、機械の分解・芯出し・精度調整など高度な作業が必要で、専門技術者の工数が多く発生します。
この「部品代+工賃」のセットが高額修理の原因のひとつです。
3. 故障が生産停止につながるため、緊急修理になりやすい
生産ラインが止まると、企業にとっては修理費以上の損失が発生します。
そのため緊急対応が求められ、通常より高い修理対応費用が発生するケースがあります。
以上を踏まえたうえで、ジャンル別の高額修理ランキングを順に解説します。
マシニングセンタ|高額修理ランキングTOP5
第1位:主軸スピンドル(50〜250万円)
マシニングの主軸は、工作機械の中でも最も高額部品のひとつです。
異音・振動・回転不良が発生した場合、ベアリング摩耗や衝突による損傷が疑われます。
オーバーホールでも50〜120万円、ユニット交換では200万円前後になることも珍しくありません。
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第2位:ボールねじ(50〜120万円)
ボールねじのバックラッシュや異音は、精度不良の大きな原因になります。
部品代が20〜70万円、交換工賃を含めると総額50〜120万円程度が相場です。
Z軸が最も高額になりやすい傾向があります。
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第3位:サーボアンプ/サーボモーター(20〜80万円)
FANUCや安川のサーボ系は、エラー401・414などのトラブルに直結します。
中古品で延命するケースもありますが、故障再発のリスクを考慮する必要があります。
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第4位:ATCユニット(20〜100万円)
ATCアームの破損、センサー不良、カムフォロア摩耗などが代表的な原因です。
部品単体は比較的安価でも、分解・調整工賃が高額になりがちです。
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第5位:リニアガイド(40〜100万円)
軸方向の精度維持に不可欠なリニアガイドは、摩耗に伴い交換が必要となることがあります。
複数ブロックの交換が必要なため、費用が高額化しやすい部品です。
NC旋盤|高額修理ランキングTOP5
第1位:主軸ベアリング・スピンドル(20〜150万円)
振動・異音・温度上昇が代表的な故障サインです。
主軸のオーバーホールは高額であり、古い機械では交換対応になることもあります。
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第2位:油圧チャックシリンダ(20〜80万円)
チャックが閉まらない・掴みが弱いという症状は、油圧シリンダの劣化が原因となることがあります。
旋盤では比較的高額な修理項目です。
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第3位:倒れタレット修理(30〜100万円)
タレット割り出し不良、衝突歴、摩耗などが原因で修理が必要になります。
構造が複雑であるため、工賃が高額になりやすい部品です。
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第4位:サーボモーター/サーボアンプ(20〜80万円)
FANUCの414エラーなど、サーボ系の故障は精度不良・停止につながるため緊急性が高い修理項目です。
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第5位:Z軸ボールねじ(50〜100万円)
旋盤のボールねじは、摩耗によりバックラッシュや加工不良を引き起こします。
交換は高額で、古い機械では修理費が機械価値を超える場合もあります。
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プレス機|高額修理ランキングTOP5
第1位:クラッチ・ブレーキ(100〜300万円)
プレス機で最も高額な修理が発生しやすい部分です。
摩耗・油圧不良・特定自主検査での指摘などが交換理由となります。
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第2位:油圧ユニット(20〜150万円)
油漏れや圧力低下が発生した場合、ユニット交換が必要となることがあります。
サイズや能力により費用が大きく変動します。
第3位:モーター・制御盤(50〜180万円)
古いプレス機では、制御盤のリプレースが必要になるケースが増えています。
PLC更新は高額になる傾向があります。
第4位:フライホイール周辺部(50〜150万円)
異音・発熱は重大故障のサインであり、早期点検が推奨されます。
第5位:ラム・スライド精度調整(30〜100万円)
精度低下が製品不良につながるため、定期的なメンテナンスが必要です。

射出成形機|高額修理ランキングTOP5
第1位:スクリュー・シリンダ(30〜150万円)
ガラス繊維入り材料を使用している場合、摩耗が早く交換頻度も高くなります。
可塑化不良・黒点・吐出量不安定などの症状がみられます。
第2位:クランプ用ボールねじ(50〜120万円)
型締め力低下の原因として、ボールねじの摩耗が多く見られます。
第3位:射出モーター(30〜100万円)
射出動作の不安定や異音が代表的な故障サインです。
第4位:油圧バルブ・油圧ユニット(20〜100万円)
油圧系の故障は生産停止リスクが高く、早期の対策が必要です。
第5位:コントローラー・基板(100〜300万円)
古い制御装置では部品供給が終了していることが多く、修理不能となる場合があります。

板金機械|高額修理ランキングTOP5
第1位:レーザー発振器(200〜500万円)
出力低下・焦点ズレなどが発生すると、発振器の交換や大規模修理が必要になることがあります。
板金機械の中で最も高額な修理項目です。
第2位:レーザーレンズ・ミラー(10〜50万円)
消耗品でありながら高額で、複数枚の交換が必要になるケースもあります。
第3位:油圧ユニット(30〜100万円)
ベンディングマシンでは油圧ユニットの交換が高額修理の中心です。
第4位:タレット回転機構(20〜150万円)
金型送り不良・割り出し不良が発生した場合、分解修理が必要です。
第5位:制御盤・PLC更新(50〜200万円)
制御系の更新は高額ですが、信頼性向上のメリットも大きい領域です。
高額修理が発生したときの3つの選択肢
1. 修理して延命する
中古部品・再生部品・民間修理業者を活用することで、修理費を抑えられるケースがあります。
部品の入手性を確認することが重要です。
2. 更新(買い替え)を前提にする
修理費が高額化し、再発リスクが高い場合は、買い替えや設備更新が合理的な判断になることがあります。
3. 売却して処分費を抑える
古い機械や修理不能機でも、部品価値や海外需要があるため売却できるケースがあります。
機械の写真・型式・故障内容を整理し、査定依頼を行うことで最適な選択肢を検討できます。
まとめ|高額修理は“判断のタイミング”
本記事で紹介したように、工作機械の高額修理は多くの工場で発生します。
必要な部品の入手性、修理費、機械の残り寿命を総合的に判断することで、延命すべきか売却すべきかの結論が見えてきます。
機械の状況を客観的に把握し、最適な選択を行うことが、長期的な設備運用コストの削減につながります。
弊社では修理に関する具体的なアドバイスはできませんが、部品の購入は可能です。お探しの部品がございましたらご相談下さい。



