
VOC処理装置は廃棄する?リユースする?
工場の統廃合・設備更新・塗装ラインの入替・印刷工場の閉鎖などの現場で、本来は高額でリユースできるのに「産廃扱い」で壊されてしまう設備があります。
その代表例がVOC処理装置(揮発性有機化合物処理装置)です。
「環境対策設備なんて中古で使う会社はないのでは?」
「古い装置だから価値はゼロだろう」
「解体業者にまとめて撤去処分してもらえば楽」
――こうした判断で、数十万〜数百万円クラスの設備がスクラップ数万円で消えていくケースは少なくありません。
本記事では、VOC処理装置をお持ちの経営者・工場責任者の方向けに、
「廃棄ではなく、資産として売却するための実務的なポイント」をまとめています。
本記事でわかること
- VOC処理装置の種類と、中古で評価されやすいタイプ
- 「価値がある装置」と「ほとんど値が付かない装置」の違い
- 廃棄と売却の価格差(誤廃棄による機会損失のイメージ)
- 大気汚染防止法・廃棄物処理法など、処分時に関わるリスク
- バラシ・搬出でやってはいけないこと(壊すと価値ゼロになるポイント)
- 高額査定のために、事前に準備しておきたい写真・資料
- 国内・海外の需要と、どのような案件が「当たり」なのか
VOC処理装置について整理
VOC処理装置は、塗装・印刷・化学・電子部品・リチウム電池・接着剤などの工程から出る揮発性有機化合物(トルエン、キシレン、MEK など)を燃焼・吸着・分解するための装置です。
大気汚染防止法・悪臭防止法・自治体条例などへの対応として導入されており、「環境規制対応の心臓部」と言える存在です。
代表的なVOC処理装置のタイプ
- 活性炭吸着装置(活性炭塔+脱着装置)
- 触媒燃焼式装置(触媒酸化炉)
- 直燃式酸化炉(アフターバーナー)
- 蓄熱燃焼式酸化装置(RTO)
- 蓄熱触媒酸化装置(RCO)
- スクラバー+活性炭の組み合わせ装置
中でもRTO・RCO・大型触媒燃焼装置は新品価格が高く、
中古でも高額で取引されやすいカテゴリです。
高価買取の可能性が高いメーカーは?
国内メーカー
以下は中古市場で評価が高く、再販しやすいメーカーです。
- 荏原(Ebara)
- 長谷川工業(Hasegawa)
- オリオン機械(ORION)※除湿+脱臭ライン
- 日本ピラー工業
- タクマ(TAKUMA)環境部門
- 神鋼環境ソリューション(Shinko)
- JFE環境
- アズビル(Azbil)制御部門が絡む装置
- 三菱重工環境装置
- IHI環境・大気関連設備
特に RTO / RCO / 大型触媒酸化炉 を製造していたメーカーは査定が安定しています。
海外メーカー
海外製は敬遠されがちですが、むしろアジア向け輸出では非常に需要が強いです。
- Dürr(ドイツ・世界最大手のRTOメーカー)
- CECO Environmental(アメリカ)
- Anguil Environmental(RTO/RCO世界大手)
- B&W(Babcock & Wilcox)
- CMM Group
- Ship & Shore Environmental
特にDürrとAnguilは新品価格が非常に高いため、中古でも高値が付きやすいです。
中古で高価買取できるVOC処理装置
VOC処理装置と一口に言っても、すべてが高く売れるわけではありません。
現場で査定をしていると、次のような条件が揃った装置は高値が付きやすい傾向があります。
1. 新品時の価格帯が高い中〜大型機
- 塗装ライン・フィルムライン・印刷ラインに接続された中〜大型装置
- 処理風量が大きい(例:10,000〜50,000N㎥/h クラス)
- 省エネ型・熱回収付きなど、高付加価値モデル
このクラスは新品導入時に数千万円〜1億円超していることも多く、
中古でも数百万円レベルで動くケースがあります。
2. RTO・RCOなど、構造が普遍的な装置
– 蓄熱媒体(セラミック)の入ったRTO
– 触媒+蓄熱のハイブリッド型RCO
などは、構造が比較的シンプルで、設計思想も大きく変わらないため、
中古でも「使い回し」が利きやすい装置です。
3. メーカー・仕様が明確であること
- 国内環境機器メーカー製
- 大手機械メーカーの環境部門製
- 海外メーカーでも日本法人経由で導入された実績機
メーカー名・型式・処理風量・処理温度・対象溶剤などがはっきりしているほど、
再利用先を探しやすく、査定も安定します。
4. まだ環境規制に対応できる仕様であること
排ガス基準値や燃焼温度が現行の規制に照らして問題ないレベルであれば、
中古でも「環境対策設備」として再評価されます。
値が付きにくいVOC処理装置
- 極端に処理風量が小さい小型機(汎用品と価格競合する)
- 構造が特殊すぎて、特定ライン専用に設計されている
- 長年放置され、腐食・穴あき・断熱材崩壊が酷い
- 制御盤・ファン・ダクトなどがバラバラにされてしまった装置
- 自治体の最新基準を明らかに満たせないレベルの旧式機
このような装置は、装置としてではなくスクラップとしてしか評価できないことが多く、
買取額も数万円〜ゼロに近くなってしまいます。
誤廃棄は数百万円の機会損失に?
VOC処理装置は、大型・重量物であるがゆえに、解体業者の一括見積の中に紛れ込み、
「まとめて撤去・処分」という扱いにされがちな設備です。
例:中型RTO(蓄熱式酸化装置)の場合
スクラップとして廃棄した場合
- 鉄・ステンレスのスクラップ価値:数万円〜十数万円程度
- 解体・ガス切断・重機費用:数十万円
- 産業廃棄物処分費:数十万円
→ ほとんど利益にならず、「お金を払って壊す」結果になります。
装置として売却した場合
- 中古買取価格:状態・仕様によっては100万〜500万円以上も十分あり得る
- 案件によっては、解体費用を差し引いても工場側に大きなプラスが残るケースも
→ 解体前に査定するかどうかで、数百万円単位の差が出る可能性があります。
「どうせ古いから」と即座に廃棄を決めてしまうことは、
経営的に見て非常に大きな機会損失になり得るということを、まず押さえておく必要があります。
法規制・リスク|撤去前に専門業者へ相談すべき理由
VOC処理装置の撤去・処分には、以下のような法的・技術的なリスクが伴います。
大気汚染防止法・悪臭防止法との関係
運用中はもちろんのこと、停止・撤去のタイミングでも、
排ガスの取り扱いや配管の封じ方を誤ると行政指導の対象になる可能性があります。
廃棄物処理法と「産廃」と「有価物」の境界
装置として売却すれば「有価物」ですが、
解体してスクラップ・産廃ルートに乗せた瞬間から「産業廃棄物」になり、
排出事業者としての責任とコストが発生します。
高額買取=産廃コストの削減+装置価値の回収
と考えると、廃棄ではなく売却のメリットは非常に大きいと言えます。
残留溶剤・触媒・充填物の扱い
内部に残った溶剤・スラッジ・触媒・蓄熱材など、
そのまま産廃にすると処理費用が跳ね上がるものもあります。
装置として売却できるかどうかは、こうした残留物の扱いをどう設計するかにも関わってきます。
解体次第で価値がゼロになる?
VOC処理装置は、解体の仕方によって価値が残るか、完全に消えるかが決まります。
やってはいけない典型例
- 重機やガス切断で炉体をバラバラにしてしまう
- 制御盤・配線を根元から切断してしまう
- ファン・ダンパー・センサー類をすべてスクラップ化する
- 蓄熱体・触媒をすべて産廃として捨ててしまう
これらをやってしまうと、もはや「装置」として再利用できず、スクラップ価格にしかならないため、
解体前に「売れるかどうかの判断」を行うことが非常に重要です。
高額査定のための事前準備
スムーズに査定を進めるためには、最低限以下の情報・写真をご用意いただくと効果的です。
1. 銘板の写真
- メーカー名
- 型式
- 製造年
- 処理風量・温度・対象溶剤 など
2. 全体写真・設置状況
- 装置全体の写真(正面・側面)
- 周囲のスペース(天井高さ・通路幅)
- 屋内・屋外・屋上など、設置場所の状況
3. 接続ライン・ダクト構成
- どのラインから排ガスが来ているか
- ダクト径・本数
- ファンの有無・位置
4. 過去のメンテナンス履歴
- 触媒交換・蓄熱材交換
- バーナーやブロワのオーバーホール
- 制御盤改造・計装更新 など
これらが揃っていれば、現地に行く前に概算査定が可能で、
「売却した場合の手取り」と「廃棄した場合のコスト」を同時に比較できます。
国内・海外どこで再利用される?
VOC処理装置は、国内だけでなく海外でも需要があります。
- 国内:塗装工場・印刷工場・フィルム・電池・化学プラントの増設・増産案件
- 海外:環境規制が強化されつつあるアジア圏の工場(塗装・印刷・PETフィルムなど)
とくに、日本国内で使われていた環境設備=品質・信頼性が高いと見なされるため、
海外では「日本製中古」というだけで評価が上がることもあります。
まとめ|VOC処理装置はリユースをご検討下さい
VOC処理装置は、
- 新品価格が高額(数千万円クラスも多い)
- 中古でも国内・海外ともに需要がある
- 廃棄すると解体・産廃コストがかかる
- 売却すれば数十万〜数百万円のリターンが期待できる
- 解体方法を誤ると価値が一気にゼロになる
という特徴を持つ、「捨てる前に必ず査定すべき」代表的な設備です。
工場閉鎖・設備更新・ライン統廃合のご予定がある場合は、
解体業者に一括見積を出す前に、「VOC処理装置だけ」でも査定にかけてみることをおすすめします。
銘板の写真と全体写真があれば、概算査定は十分可能です。
「この装置は売れるのか?」「廃棄と売却、どちらが得か?」と迷われた際は、
処分を決める前に、ぜひ一度ご相談ください。