
CMMを誤って廃棄しないで
工場の閉鎖・ライン再編・設備更新の現場で、
誤って廃棄されがちな高額資産——それが「三次元測定機(CMM)」です。
三次元測定機は、生産設備ではなく計測設備のため、
- 「もう古いし価値はないだろう」
- 「大型で移設が面倒だから廃棄してしまおう」
- 「解体業者にまとめて処分してもらった」
こういった状況が頻発しています。
しかし実際には、CMMは中古市場で非常に需要が高い設備です。
特に年式が10〜20年以内でメーカーが明確なものは、
50万円〜500万円以上で取引されるケースも珍しくありません。
本記事では、経営者の方が「三次元測定機を廃棄せず、正しい価値で売却する」ために
知っておくべき重要な情報を整理します。
本記事で解説する内容
- 三次元測定機とは何か(経営目線でわかりやすく)
- 中古で高額になるCMMの種類・メーカー
- 買取額に差が出る「価値のある仕様・価値の落ちる仕様」
- 廃棄と売却の価格差(誤廃棄が招く損失試算)
- 法規制・計量法校正のリスク
- 搬出の難易度と「壊すと価値ゼロ」になるポイント
- 事前に用意すべき写真・スペック情報
- 買取を成功させるための注意点(CTA)
三次元測定機の中古について
三次元測定機は、製品の形状を高精度に測定する設備で、製造現場では
品質保証(QA)・検査工程の中核となる設備です。
三次元測定機が高額になる理由は明確です。
- 新品価格が数百万円〜数千万円と高価
- 構造が長寿命で、正しく管理されていれば中古でも性能が保たれる
- 製造業全般で需要が高い(自動車・航空機・医療・金型など)
- 海外でも人気があり輸出価値が高い
- 校正やソフトウェアアップデートで再利用しやすい
品質保証の設備は「止められない」ため、新品を買い控える企業も多く、
中古品のニーズが常に存在する設備と言えます。
中古で高額になる三次元測定機
三次元測定機には大きく次のタイプがあります。
それぞれ価値が異なります。
ブリッジ型(Bridge Type)──最も需要が高いタイプ
一般的な形状で中古流通量も多いタイプです。
以下の特徴がある場合は特に高額になります。
- 測定範囲が大きい(例:700×1000×600以上)
- 年式10〜15年以内
- 信頼性の高いメーカー製
- 測定誤差(MPE)が小さい高精度モデル
特に下記メーカーは「中古市場の王者」と言えます。
- Mitutoyo(ミツトヨ)
- Carl Zeiss(ZEISS)
- Hexagon(Leitz / Brown & Sharpe)
これらは海外でもブランド価値が高く、
動作良好であれば高価買取が期待できるメーカーです。
ガントリー型(Gantry Type)──大型ワーク向けで価値が高い
自動車部品メーカー、金型メーカー、航空機部品メーカーなどで使用される大型タイプです。
設置スペースがネックになりますが、
- 大型ワーク対応
- メーカー・年式が良好
- 測定範囲が広い
といった条件が揃っていれば、
100万円〜500万円以上の査定になる場合もあります。
アーム型(Portable CMM)
携帯型のアーム式三次元測定機も中古需要が強いジャンルです。
- Romer
- FARO
- HEXAGON
などのポータブルタイプは、可搬性が高く、
リバースエンジニアリング・三次元スキャン用途でも人気があります。
中古価格が上がる仕様・下がる仕様
三次元測定機の中古価格は、以下の要素によって大きく変動します。
価値が上がる条件
- メーカーが Mitutoyo / ZEISS / Hexagon といった定番ブランド
- 年式が比較的新しい(5〜15年以内)
- 校正証明書が残っている
- 温度補正機能・空気圧機能が正常
- ソフトウェアライセンスがアクティブ(MCOSMOS / Calypso など)
- プローブヘッドが現行モデル(TP200、PH10シリーズなど)
- サーバーPCや専用ソフトが揃っている
- 防振台付きで「一式揃っている」構成になっている
特にプローブヘッドとコントローラの型番は価格に直結します。
価値が下がる・付かない条件
- メーカー不明または海外ノーブランド
- 校正が10年以上されていない
- 精度不良(測定誤差が大きい)
- 故障したまま長期放置されている
- ソフトウェアが起動しない・OSが古すぎる
- 電源ONで異常音が出る・エラー表示が出る
ただし、部品取りニーズがあるため、
完全故障でも「部品だけ」で売れる場合もあります。
誤廃棄すると数百万円の損失に
三次元測定機は大きいため、設備撤去や工場解体の際に
「とりあえずまとめて処分」とされやすい設備です。
しかし、その判断は非常に危険です。
価格差の具体例(ブリッジ型CMMの場合)
スクラップとして廃棄した場合
- 鉄・アルミのスクラップ価値:数千円〜1万円程度
- 撤去・運搬費:5〜15万円
- 産廃処理費:追加で数万円
結果として、お金を払って捨てる結果になります。
中古として売却した場合
- 買取価格:20万円〜300万円以上
- 有名メーカー・大型モデルの場合:300万〜500万円もあり得る
差額:最大500万円以上の逸失利益が発生する可能性があります。
特に ZEISS、Mitutoyo、Hexagon は中古価格が安定しており、
「廃棄してしまった」=そのまま大損と言っても過言ではありません。
法規制・校正リスク|知らずに廃棄すると危険
CMMの処分には、次のようなリスクが伴います。
計量法による校正履歴の管理義務
品質保証工程に関わる設備のため、
校正記録が適切であるかどうか確認が必要です。
廃棄前に校正記録を確認せず処分してしまうと、
後から工程監査で問題が指摘されるケースもあります。
データ残存(情報漏洩)リスク
測定データ・モデルデータがPCやHDDに残っているため、
海外流出などは企業リスクとなります。
中古買取の場合、データ消去まで責任を持つ業者に依頼できるため、
廃棄よりも安全性が高いと言える側面もあります。
搬出の難易度について
三次元測定機は精密機器のため、搬出時の扱いに注意が必要です。
以下のミスが発生すると、価値がゼロになります。
よくある搬出トラブル
- フォークリフトの爪でコラムを突いて破損
- クレーン作業中の振れで周囲と衝突
- 防振台のボルトを強引に外して破損
- 測定テーブルにキズを付ける
- トラック載荷時に転倒・転落
CMMのテーブルは「平面精度」が命です。
わずかな損傷で計測誤差が生じ、再利用不可能になります。
売却前に情報・写真を準備
査定をスムーズに行うため、最低限以下の情報が必要です。
必要な写真
- 銘板(メーカー・型式・年式)
- 全体写真(前面・側面)
- PC・コントローラ・プローブヘッド周辺
- テーブルと測定範囲が分かる写真
- 搬出経路(出口の寸法・通路の様子)
できれば欲しい情報
- 校正記録(最新の日付)
- ソフトウェアバージョン(MCOSMOS / Calypso など)
- 稼働状況(年間稼働時間・使用頻度)
- 過去の修理履歴
情報が少なくても査定は可能ですが、
揃っているほど高額提示がしやすくなる傾向があります。
まとめ|三次元測定機はリユースをご検討下さい。
三次元測定機(CMM)は、
- 新品価格が高い
- 中古需要が常に強い
- 海外輸出のニーズも大きい
- 校正さえ取れれば長く使える
- 故障していても部品価値がある
という理由から、
廃棄してはいけない設備ランキング上位に入る機械です。
工場閉鎖・ライン再編・設備入替の際は、
まずは「廃棄」ではなく「査定」を先に行ってください。
査定は、写真と型式だけで可能です。
撤去費用がかかる場合でも、買取額で相殺できるケースが多くあります。
「この三次元測定機は売れるのか?」「廃棄費用をかけるべきか?」と迷われた際は、
処分を決める前に一度ご相談ください。