
複合加工機の売却を検討中の経営者さまへ
複合加工機(INTEGREX のような旋盤+ミーリング一体型マシン)は、導入時には「これ1台で何でもできる中核設備」として期待され、数千万円〜1億円クラスの投資になっていることも珍しくありません。
しかし、事業環境や受注内容が変わるにつれて、次のような悩みが生まれてきます。
- 以前ほどフル稼働しておらず、稼働率が落ちてきている
- 5軸マシニングや専用ラインへの投資を優先したい
- 高技能オペレーターに依存していて、世代交代が難しい
- 固定資産として残っているが、実態として遊休化に近い
マザックの INTEGREX シリーズ、オークマの MULTUS、DMG森精機、中村留精密工業の複合機など、
国産複合加工機はまだまだ海外での需要が強い一方で、日本国内では「持て余し気味」の設備になりつつある というのが現状です。
複合加工機を「いつ」「どう売却するか」は、単なる機械の入れ替えではなく、経営資源の再配分に関わる意思決定です。
複合加工機の資産価値を下げないために
複合加工機は、旋盤・ミーリング・Y軸・B軸・C軸など、複数の機能が一体化しているため、稼働を止めてしまうと次のようなリスクが早い段階で顕在化します。
- 主軸・サブ主軸のベアリング劣化や異音
- Y軸・B軸まわりのガタ・バックラッシ増大
- タレット・ツールチェンジャーの固着
- 制御装置(FANUC、MAZATROL、OSP など)の電子部品寿命
さらに、
- 高技能オペレーターが退職・異動してしまう
- 社内に複合加工機を使いこなせる人材が残らない
といった「人的要因」によって、
「動かそうと思えば動くが、実態として動かせない設備」 になってしまうケースも少なくありません。
こうなると、
- 稼働率はゼロに近いのに、
- 固定資産税・スペース・保守費用・安全管理コストだけが残る
という、経営的には最も避けたい状態になります。
複合加工機の売却を考えるのであれば、
「完全停止してから」ではなく、「稼働を絞り始めた段階」 で検討することが、結果的に高値での売却につながりやすくなります。
複合加工機の買取ポイント
複合加工機の買取査定では、年式や見た目だけでなく、次のような観点を総合的に見て評価します。経営者としては、どこが価値の源泉になっているかを把握しておくことが重要です。
1. メーカー・シリーズ
国産複合加工機の中でも、特に評価が高いのは以下のようなシリーズです。
- ヤマザキマザック:INTEGREX シリーズ(eシリーズ、iシリーズなど)
- オークマ:MULTUS シリーズ
- DMG森精機:NLX/NTX 系の複合タイプ
- 中村留精密工業の複合加工機
これらは、海外でもサービス網や部品供給体制が整っているため、
「日本国内だけでなく、輸出を前提にした出口」 を描きやすい機種です。
2. 仕様・能力(旋盤+ミーリング+Y軸の組み合わせ)
- チャックサイズ(8インチ、10インチ、12インチなど)
- Y軸の有無とストローク
- 主軸・サブ主軸の構成(対向主軸かどうか)
- ミーリング能力(回転数、出力)
- B軸ヘッドの有無・可動範囲
Y軸付き・サブ主軸付き・B軸ヘッド付きといった仕様は、
「一発加工」や「工程集約」を求めるユーザーからの需要が強く、高評価につながりやすいポイント です。
3. 制御装置・世代
- MAZATROL(Matrix、Smoothシリーズ 等)
- FANUC 30i/31i 世代
- OSP-P300 系 など
複合加工機はプログラムも複雑なため、
制御装置の世代とサポート状況が、売却の可否・価格に大きく影響します。
4. 衝突歴・修理歴・メンテナンス履歴
複合機では、
- B軸ヘッドの衝突
- タレットや主軸まわりのクラッシュ
が機械精度に大きな影響を与えるため、こうした履歴の有無は査定上の重要ポイントです。定期点検記録や修理伝票が残っていれば、評価の裏付けになります。
複合加工機の売却ケース
ケース1:自動車・油圧機器など量産部品メーカー
- 以前は複合機1台で段取り替えをしながら多品種対応していた
- 近年は専用ライン化や5軸化が進み、複合機の役割が限定的に
- 人員配置の最適化の中で、「複合機だけ別扱い」になっている
このような場合、複合機を維持することで、
- 設備保守の手間
- 複雑なプログラムの維持管理
- 属人的スキルへの依存
といった見えないコストが積み上がっていることがあります。
ケース2:高付加価値部品メーカー(医療・半導体・航空など)
- かつては複合機で一括加工していたが、
- より高精度・高効率な 5軸マシニング や専用設備へ移行中
- 細かい工程分割と自動化の方がトータルでメリットがある
すでに新設備へ主力を移しているにもかかわらず、
複合機が「保険的に」残っているケースは少なくありません。
ケース3:町工場・中小企業の世代交代
- 先代が複合機を使いこなしていたが、後継者世代はマシニング中心
- 複合機のプログラム・ノウハウがブラックボックス化している
- 稼働率が落ち、「あっても使いきれていない」状態に
この場合、複合機は「技術力の象徴」であると同時に、
次の世代の身動きを取りにくくしている要因にもなります。
複合加工機の中古市場と海外需要
複合加工機、とくに国産の INTEGREX や MULTUS は、
- 日本国内では「使いこなし難易度の高い設備」として敬遠される一方で、
- 海外では「工程集約ができる高性能マシン」として強いニーズがあります。
特に、
- 東南アジア(タイ・ベトナム・インドネシア など)
- インド
- 中東・トルコ周辺
では、
- 人件費やスペースを抑えたい
- 治具や工程数を減らしたい
といったニーズから、複合機は今でも魅力的な選択肢です。
経営者の視点から見ると、
日本国内で“持て余し気味”になっている複合加工機を、
海外の実需マーケットへ橋渡しすることで、
固定資産の最終回収額を最大化できる可能性がある。
と言い換えることができます。
複合加工機の売却で問題になる点とは?
複合加工機ならではの「売却のハードル」も存在します。
1. B軸ヘッド・Y軸まわりのトラブル
- 衝突歴
- ガタ・バックラッシ
- 修理歴の有無
こうした情報は、買い手にとって非常に重要です。当社では、
- 不具合を隠すのではなく、正直に開示した上で
- 修理前提・オーバーホール前提
といった条件での出口を含めて検討します。
2. 制御装置の世代とサポート
- 古い MAZATROL や FANUC 世代では、部品供給の問題が出ることも
- ただし、一部の海外ユーザーは旧世代制御でも問題なく使いこなす
国内目線だけで「もう価値がない」と判断してしまうと、
海外向けのチャンスを逃してしまうことがあります。
3. 高度なスキル前提の設備であること
複合機は、オペレーターのスキルがあってこそ真価を発揮する設備です。
そのため、
- 社内に複合機オペレーターが残っていない
- 通電はできるが、プログラムを動かせる人がいない
という理由で「評価不能」とされてしまうケースもあります。
当社では、そうした状況でも、
- 機械的な状態
- 制御の状態
- 過去の使用履歴
から総合的に価値を判断し、可能な限り出口を探っていきます。
売れやすい複合加工機とは?
売れやすい傾向の機械
- ヤマザキマザック INTEGREX、オークマ MULTUS など、国産主要シリーズ
- Y軸付き・サブ主軸付き・B軸付きのフル装備機
- FANUC 30i/31i、MAZATROL Smooth 世代など、比較的新しい制御
- 通電・自動運転確認が可能で、衝突歴がない、または軽微
売却に工夫が必要な機械
- B軸ヘッドに大きな修理歴がある
- 衝突歴が複数回あり、修理も現場対応で済ませてきた
- 古い制御で、国内では敬遠されがち
- 通電不可・長期放置で現状不明
「工夫が必要だから価値がない」ということではなく、国内再販だけでなく、海外・部品取り・オーバーホール前提という複数の出口を組み合わせることで、まだ価値を回収できる余地があると考えるべき領域です。
複合加工機の売却タイミング
複合加工機の売却を検討するベストタイミングは、
- 完全に止めてしまった後ではなく、
- 「最近あまり回していないな」と感じ始めた段階
です。
- 高額な修理見積りが出たとき
- 5軸や専用ラインの導入計画が具体化したとき
- キーマンとなるオペレーターの退職が見えてきたとき
こうしたサインが見え始めたら、
複合加工機の出口戦略を具体的に検討し始めるべきタイミング と言えます。
まずはご相談ください
複合加工機は、
- 導入時の投資額も大きく、
- 設備としての存在感も大きく、
- その分「手放す決断」を先送りしがちな設備
でもあります。
しかし、稼働率が落ち、オペレーターがいなくなり、制御も古くなってからでは、
回収できる価値はどうしても小さくなってしまいます。
INTEGREX をはじめとした国産複合加工機をお持ちであれば、まずは一度、「売れるかどうか」「どの程度のレンジで評価できそうか」を確認するところから始めてください。
メーカー名・機種名・年式・仕様、そして可能であれば工場内での写真が数枚あれば、
経営判断の材料となる情報を分かりやすくお伝えいたします。