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安田工業 ジグボーラーYBM640Vを導入し失敗した埼玉県の工場【買取事例】

バッテリー部品の仕事が来なかった精密加工会社

「安田ジグボーラーYBM640Vを導入したものの、思ったほど使えていない」

「バッテリー部品の量産立ち上がりを見込んでいたが、案件そのものが止まっている」

「ほぼ新品に近い設備を、このまま工場に置いておくべきか迷っている」

そんな状況はありませんか?

高精度加工機は、導入すればすぐ利益を生む設備ではありません。

仕事量、加工内容、社内人材、取引先の投資計画。

それらが噛み合って、初めて投資回収の道筋が見えてきます。

今回取り上げるのは、埼玉県の精密加工会社F社が、電池関連部品の受注を見込んで安田 YBM640Vを導入したものの、電池工場計画の延期により稼働計画が崩れた事例です。

【注記】

本記事の事例は、お客様の守秘義務保護のため、複数事例をもとに構成・脚色しています。実際の企業名・人物名・設備構成とは異なりますが、製造業で実際に起こり得る意思決定プロセスを再現しています。


なぜF社はYASDA YBM640Vの導入に失敗したのか?

F社は埼玉県南部にある精密加工会社です。

従業員数は28名。

主な取引先は、産業機械メーカー、検査装置メーカー、半導体関連装置メーカーでした。

もともとは多品種少量の精密部品加工を得意としており、社内にはマシニングセンタ、NC旋盤、平面研削盤が並んでいました。

ただし、ここ数年の悩みは明確でした。

既存設備だけでは、単価の高い高精度案件を取り切れない。

汎用的な加工は競争が激しく、見積もりを出しても価格勝負になりやすい。

若手社員に技能を継承したくても、古い設備では段取りや補正が属人的になりすぎる。

社長は、次の柱になる仕事を探していました。

そんな時に声がかかったのが、電池関連設備メーカーからの高精度部品加工でした。

相手先は、国内の大型バッテリー工場向けに製造装置を供給する予定で、その装置に使われる基準部品、治具部品、精密プレート類の加工先を探していました。

要求されたのは、単なる切削加工ではありません。

寸法精度、面品位、加工の安定性、短納期対応。

さらに、量産前の試作から量産立ち上げまで、同じ加工会社に任せたいという話でした。

F社にとっては、魅力的な案件でした。

既存顧客だけに依存しない新分野。

EV・バッテリー関連という成長市場。

比較的高い利益率が見込める精密部品。

社長は、これを逃すと次の成長機会を失うと考えました。

そこで導入を検討したのが、安田 YBM640Vでした。


安田工業 ジグボーラーYBM640Vに期待した効果

F社が期待していた効果は、単に「新しい機械を入れること」ではありませんでした。

狙いは、電池関連部品の加工精度を安定させることでした。

既存機でも加工できないわけではありません。

しかし、段取り替え後の精度出しに時間がかかる。

ベテラン作業者の調整に頼る場面が多い。

長時間加工で寸法が安定しないリスクがある。

このままでは、電池関連設備メーカーが求める品質保証には届かない可能性がありました。

導入費用は、周辺機器や治具、工具、搬入費を含めて約6,800万円。

F社にとっては大きな投資でした。

銀行借入も必要でした。

社長は取引銀行に対し、電池関連部品の受注見込み、月間加工時間、想定粗利、投資回収計画を説明しました。

試算では、月に120〜150時間ほどYBM640Vを稼働できれば、既存仕事と合わせて返済は十分可能でした。

さらに、将来的にはバッテリー設備以外の高精度案件にも展開できると考えていました。

社内でも期待は大きくなっていました。

若手の中には、新しい高精度機を扱えることに前向きな社員もいました。

工場長も、古い設備に無理をさせ続けるより、精度が必要な仕事を新しい設備に集約した方がよいと考えていました。

F社にとってYBM640Vは、単なる設備更新ではありません。

「バッテリー部品の夢」を形にするための投資でした。


期待と現実のギャップ

導入直後、F社は社内で加工環境を整えました。

専用治具を設計し、工具メーカーとも相談しながら加工条件を詰めました。

試作部品の加工では、取引先からの評価も悪くありませんでした。

「この精度なら量産立ち上げ時にもお願いしたい」

そう言われたことで、社長は投資判断に手応えを感じていました。

しかし、問題は機械でも加工技術でもありませんでした。

電池工場計画そのものが延期されたのです。

当初予定されていた設備発注が後ろ倒しになり、F社に来るはずだった部品加工の量も消えました。

完全になくなったわけではない。

ただし、いつ再開するのか分からない。

この状態が一番苦しいものでした。

社長は取引先に何度も確認しました。

「計画は中止ではありません」

「時期が見直されています」

「再開すれば声をかけます」

返ってくる言葉は前向きに聞こえます。

しかし、工場の中ではYBM640Vがほとんど動いていませんでした。

導入から半年が過ぎた時点で、月間稼働は想定の3分の1以下。

1年後には、スポット案件を入れても稼働率は20〜30%程度にとどまりました。

しかも、既存顧客の仕事を無理にYBM640Vへ載せ替えても、必ずしも利益率が上がるわけではありません。

本来は高精度・高単価案件向けの設備です。

一般的な部品加工に使うと、機械の能力に対して単価が合わない仕事も出てきます。

社長はこう感じていました。

「良い機械を入れたことは間違っていない。でも、使う予定だった仕事が来ない」

このズレが、F社の悩みの中心でした。


売却判断を難しくした理由

ほぼ新品状態だからこそ、手放しにくい

YBM640Vは、まだ導入から間もない状態でした。

稼働時間も少なく、外観もきれいで、精度面でも大きな不安はありません。

だからこそ、社長は売却に踏み切れませんでした。

古くなって故障が増えた設備なら、整理の判断はしやすいものです。

しかし、今回は違います。

「まだ使っていない」

「これから案件が戻るかもしれない」

「今売ったら、導入判断そのものが失敗だったと認めることになる」

数字だけでは割り切れない感情がありました。

減価償却と借入返済が残っていた

設備投資額は約6,800万円。

減価償却は始まっているものの、帳簿上の価値はまだ大きく残っていました。

銀行借入の返済も続いています。

社長は月次試算表を見るたびに、YBM640Vの存在を意識しました。

設備は工場にある。

しかし、予定していた売上を生んでいない。

返済だけは毎月発生する。

この状態が資金繰りを少しずつ圧迫していました。

銀行からすぐに厳しい指摘を受けたわけではありません。

ただ、担当者からはこう聞かれました。

「当初計画していた電池関連の売上は、いつ頃から立ち上がる見込みですか?」

社長は明確に答えられませんでした。

この時点で、問題は設備の稼働率だけではなく、銀行対応にも広がっていました。

工場スペースを占有していた

F社の工場は広くありません。

YBM640Vのために、既存設備の配置を変え、材料置き場も移動しました。

導入時は前向きなレイアウト変更でした。

しかし、稼働しない状態が続くと見え方が変わります。

動いていない設備が、工場の一等地を占めている。

その周辺に専用治具や工具、測定具が置かれている。

別の仕事を増やしたくても、スペースに余裕がない。

工場長は、社長にこう伝えました。

「この機械を残すなら、仕事を取りに行く体制までセットで考えないと、場所だけ使ってしまいます」

設備を置いておくことにも、目に見えないコストがある。

F社はそれを実感し始めていました。

電気代と保守費も無視できなかった

稼働していなくても、設備には維持費がかかります。

工場全体の電気基本料金。

定期点検。

消耗品。

周辺機器の管理。

精度維持のための環境管理。

もちろん、フル稼働している設備に比べれば負担は小さいかもしれません。

しかし、売上を生まない設備にかかる費用は、社長にとって重く感じられました。

特にF社では、材料費や電気代の上昇により、既存案件の利益率も下がっていました。

以前なら吸収できた固定費も、今は簡単ではありません。

「使っていないから費用はかかっていない」

そう考えることはできませんでした。

人材不足で新規開拓にも限界があった

社長は、YBM640Vを活かせる別案件を探そうとしました。

半導体関連、医療機器関連、精密治具関連。

営業先はいくつかありました。

しかし、F社には営業専任者が多くいません。

社長自身が見積もり、顧客対応、銀行対応、現場調整まで抱えています。

工場長も日々の納期対応で手一杯でした。

高精度案件を取るには、加工技術だけでは足りません。

品質保証体制、検査成績書、試作対応、顧客との技術打ち合わせ。

そこに人を割けるかどうかが問われます。

若手に任せたい気持ちはあっても、経験が足りない。

ベテランは既存案件で埋まっている。

設備はあるのに、仕事を取りに行く体制が不足していました。

取引先の「延期」が判断を鈍らせた

もし案件が完全に消滅していれば、社長も判断しやすかったかもしれません。

しかし、取引先からは「延期」と言われていました。

中止ではない。

再開の可能性はある。

ここが難しいところでした。

社長は何度も考えました。

今売却した後に、半年後に案件が戻ったらどうするのか。

その時に同等設備をすぐ確保できるのか。

顧客からの信頼を失わないか。

一方で、待ち続けた結果、2年、3年と稼働しなければどうなるのか。

設備価値は下がり、資金繰りは重くなり、工場スペースも固定される。

「待つこと」も経営判断です。

しかし、待つ理由が曖昧なままだと、判断の先送りになります。

F社はその境目に立っていました。


安田YBM640Vの価値を把握してから判断する

安田工業 ジグボーラーYBM640Vのような高精度機は、年式、稼働時間、仕様、保管状態、付属品、需要分野によって評価が変わります。

使うか、残すか、売却するかを決める前に、現在の資産価値を把握しておくことは、経営判断の材料になります。

設備の現状把握や価値確認はこちらからご相談ください。


なぜ今、見直しを決断したのか

F社がすぐに売却を決めたわけではありません。

社長は、半年ごとに取引先へ状況を確認していました。

同時に、社内ではYBM640Vに載せられる仕事を探しました。

既存顧客にも声をかけ、高精度部品の相談があれば優先的に提案しました。

それでも、想定した稼働率には届きませんでした。

転機になったのは、翌年度の事業計画を作る時期でした。

経理担当から、社長に数字が示されました。

YBM640Vの年間稼働時間。

設備関連の固定費。

借入返済額。

見込んでいた電池関連売上と実績の差。

その数字を見た社長は、初めて冷静に考えました。

「この設備を残すなら、残す理由を数字で説明しなければならない」

それまでは、期待がありました。

いつか仕事が戻るかもしれない。

せっかく入れた設備だから使いたい。

高精度加工の看板になる。

しかし、銀行にも社員にも説明できる判断にするには、感情だけでは足りません。

社長は工場長、経理担当、ベテラン社員を集め、YBM640Vについて社内会議を行いました。

議題は売却ありきではありません。

選択肢を並べることでした。

1つ目は、当初案件の再開を待つ。

2つ目は、別分野の高精度案件を本格的に取りに行く。

3つ目は、既存設備との役割を見直してYBM640Vを中核設備にする。

4つ目は、早い段階で売却し、資金とスペースを戻す。

それぞれの選択肢について、必要な条件を整理しました。

案件再開を待つなら、いつまで待つのか。

別分野を狙うなら、誰が営業し、誰が品質対応するのか。

中核設備にするなら、既存設備をどれか整理するのか。

売却するなら、帳簿価額との差や銀行への説明をどうするのか。

この会議で、工場長が現実的な意見を出しました。

「残すことには反対しません。ただ、このまま何となく置いておくのは危ないです。仕事を作る計画がないなら、機械に期待だけを背負わせることになります」

社長は、その言葉を重く受け止めました。


F社が選んだ最終判断

F社は最終的に、YBM640Vの売却を含めた整理検討に入りました。

すぐに搬出したわけではありません。

まず行ったのは、現状価値の確認です。

年式、稼働時間、仕様、付属品、保守履歴、加工実績を整理しました。

銀行にも、設備を見直す可能性があることを事前に伝えました。

社長は、銀行に対してこう説明しました。

「当初予定していた電池関連案件が延期され、稼働率が計画を大きく下回っています。設備を残す選択も検討しましたが、現時点では資金効率と工場スペースを考え、資産価値が残っているうちに見直す判断を進めています」

この説明により、銀行対応も後手に回らずに済みました。

社内にも、失敗という言葉では説明しませんでした。

「この設備を入れた判断が間違っていたかどうかではなく、今の状況に合わせて次の判断をする」

社長はそう伝えました。

この言い方は、社員にとっても受け入れやすいものでした。

導入に関わった社員を責める必要はありません。

バッテリー市場の成長を見込んだこと自体は、不自然ではありません。

問題は、外部環境が変わった後に、判断を止めてしまうことです。

F社は、YBM640Vを売却することで得られる資金を、既存設備の更新、人材採用、検査体制の強化に回す案も検討しました。

つまり、売却は撤退ではありません。

次の経営判断のために、固定化した資産を動かす選択でした。


この事例から学べること

設備投資は、案件とセットで考える必要がある

F社の判断は、決して特殊ではありません。

成長市場に向けて設備投資を行うことは、多くの製造業で起こります。

EV、バッテリー、半導体、医療、航空宇宙。

どれも魅力的な分野です。

しかし、特定案件に強く依存した設備投資では、案件延期や計画変更の影響を大きく受けます。

設備そのものが良くても、仕事が来なければ稼働率は上がりません。

稼働率が上がらなければ、減価償却と借入返済の負担だけが残ります。

「延期」は判断を難しくする

中止ではなく延期。

この言葉は、経営者を悩ませます。

待てば戻るかもしれない。

今手放すのは早いかもしれない。

しかし、延期が続く間にも設備価値は変化します。

工場スペースも使い続けます。

保守費や電気代も発生します。

社員の意識も曖昧になります。

延期案件を待つ場合は、期限を決めることが必要です。

いつまで待つのか。

どの条件が揃えば残すのか。

どの時点で見直すのか。

そこを決めないままにすると、判断は先送りされます。

高精度機は「持っているだけ」では強みにならない

YBM640Vのような高精度機は、会社の技術力を示す設備になり得ます。

しかし、設備があるだけで仕事が来るわけではありません。

営業力。

品質保証。

加工ノウハウ。

検査体制。

人材育成。

これらが揃って、初めて設備が利益につながります。

F社も、設備を活かすには新規開拓の体制が必要だと気づきました。

設備投資は、機械だけの投資ではありません。

人と仕事の取り方まで含めた投資です。

売却は失敗の証明ではない

製造業では、設備を手放すことに心理的な抵抗があります。

特に導入から年数が浅い設備ほど、その抵抗は大きくなります。

「判断を間違えたと思われるのではないか」

「社員に申し訳ない」

「銀行に悪く見られるのではないか」

こうした不安は自然です。

しかし、売却は必ずしも失敗の証明ではありません。

状況が変わった後に、資産をどう動かすか。

これも経営判断です。

価値が残っているうちに見直すことで、次の投資余力を守れる場合もあります。

まとめ:安田 YBM640Vの問題ではなく、判断を放置しないこと

F社が悩んだのは、YBM640Vの性能ではありませんでした。

導入時の期待と、実際の市場環境がずれたこと。

使う予定だったバッテリー部品の仕事が来なかったこと。

それでも、ほぼ新品の設備を前にして、簡単には判断できなかったこと。

ここに製造業の設備投資の難しさがあります。

設備は、導入した瞬間に終わりではありません。

案件が変われば、使い方を見直す。

人材が足りなければ、体制を見直す。

稼働率が下がれば、残す理由を確認する。

銀行への説明が必要なら、早めに数字を整理する。

判断を放置しないことが、会社を守る一歩になります。


売るかどうかの前に、現状を整理してみませんか

使う予定だった仕事が来ない設備でも、すぐに売却と決める必要はありません。

ただ、稼働率、保守費、工場スペース、資産価値を把握しないまま置き続けると、判断材料が少ないまま時間だけが過ぎてしまいます。

現状把握、資産価値の確認、選択肢の整理からご相談いただけます。

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