モーターシャフト案件を信じて導入したた会社の行方とは?
「EV向け案件が増えると聞いて設備投資したが、思ったほど仕事が来ない」
「高性能な設備なのに、稼働率が上がらない」
「売るべきか、持ち続けるべきか判断できない」
そんな状況はありませんか。
ヤマザキマザックのINTEGREX i-200は、多工程を一台で完結できる複合加工機として高い評価を受けています。
しかし、設備そのものが優秀でも、投資が必ず成功するとは限りません。
今回は、EV向けモーターシャフト案件の拡大を見込み、INTEGREX i-200を導入した長野県の精密加工会社U社の事例をもとに、設備投資後に起きた意思決定のプロセスを紹介します。
こういう「EVシフトに合わせて設備投資したけど、蓋を開けたら数量が全然違った」ってご相談、正直めちゃくちゃ増えてるんです。個人的には、「稼働率が下がってきたな」と感じた段階で、売る売らないは別として一回査定だけ取っておくのをオススメしてます。判断材料があるだけで、後の身の振り方が全然変わってきますので。
買取のご相談は下記のリンクからお願いします。長野県の長野市、松本市、上田市、諏訪市など、どちらの地域でも買取させていただきます。
なぜINTEGREX i-200を導入したのか、そして失敗したのか?
【注記】本記事の事例は、お客様の守秘義務保護のため、複数事例をもとに構成・脚色しています。実際の企業名・人物名・設備構成とは異なりますが、製造業で実際に起こり得る意思決定プロセスを再現しています。
長野県中信地域にある精密加工会社U社。
従業員数は42名。
自動車関連部品と産業機械部品を主力とする会社でした。
主要取引先の一つである大手Tier1メーカーから、
「今後はEV向けモーターシャフトが増える」
という説明を受けていました。
試作案件も順調に進み、量産移行もほぼ確実と考えられていました。
U社では従来、
旋盤加工
マシニング加工
二次工程
測定工程
という流れで対応していました。
しかしモーターシャフトは高い同軸度と寸法精度が要求されます。
工程間のワーク移載による誤差や段取り時間を減らすため、工程集約が重要でした。
そこで約4,500万円を投じてINTEGREX i-200を導入。
補助金も活用しながら、生産体制を一気に引き上げる計画でした。
社内では、
「これでEV案件を取りにいける」
という期待感が広がっていました。

複合加工機への期待と現実のギャップ
設備導入から約1年。
問題は量産開始後に発生しました。
当初、Tier1から提示されていた年間数量は12万本。
U社はその数字を前提に生産計画を組みました。
しかし実際に流れ始めた数量は約6万本。
想定の半分でした。

EV市場の成長が予想より鈍化したこと。
完成車メーカー側の計画修正。
複数サプライヤーへの発注分散。
こうした要因が重なった結果でした。
もちろん案件自体は消えていません。
しかし投資回収を前提としていた数量には届かなかったのです。
設備稼働率は想定80%以上。
実際は40%台。
夜間運転を予定していた時間帯も停止したまま。
空調費や電気代だけが発生していました。
設備稼働率の比較
| 項目 | 想定 | 実際 |
|---|---|---|
| 稼働率 | 80%以上 | 40%台 |
| 夜間運転 | 予定あり | 停止 |
売却判断を難しくした理由
「仕事はある」のが逆に難しかった
設備投資が失敗したと言い切れる状況ではありませんでした。
実際に案件は継続しています。
品質面の評価も高い。
不良率も低い。
顧客との関係も良好。
だからこそ経営陣は悩みました。
完全な遊休設備なら判断は簡単です。
しかし月によっては稼働する。
将来増えるかもしれない。
そう考えると売却判断ができませんでした。
減価償却がまだ残っていた
導入から数年しか経過していなかったため、帳簿上の残存価値も大きく残っていました。
経理担当者からは、
「今売ると帳簿との差額が発生する」
という指摘もありました。
利益率が低下している状況で追加損失は避けたい。
その思いが決断をさらに遅らせました。
売却判断を難しくした4つの理由
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 仕事はある | 案件継続・品質評価も高く、完全な遊休設備ではない |
| 減価償却が残存 | 帳簿価額との差額発生を懸念 |
| 銀行への説明 | 融資時の事業計画(EV拡大前提)との整合性説明が必要 |
| 技術者不足 | ベテラン技術者が60代後半、技能継承が未完了 |
銀行への説明も必要だった
設備投資時には金融機関から融資を受けていました。
銀行へ提出した事業計画ではEV案件の拡大が前提になっています。
もし設備整理を行う場合、
なぜ計画が変わったのか。
今後の事業はどうするのか。
説明責任が発生します。
社長は、
「売却するより銀行説明の方が大変かもしれない」
と話していたといいます。
技術者不足も深刻だった
もう一つの問題は人材です。
複合加工機を十分活用できるベテラン技術者が60代後半に差しかかっていました。
若手への技能継承は進めていましたが、完全には引き継げていません。
もし将来案件が増えても、運用できる人材が不足する可能性がありました。
設備の問題ではなく、人の問題が投資回収を難しくしていたのです。
設備の稼働状況や市場価値は、自社だけで判断すると見えにくくなります。
今すぐ売却する必要がなくても、現在の資産価値や市場評価を把握しておくことで選択肢は広がります。
なぜ今、INTEGREX i-200の見直しを決断したのか
転機となったのは工場レイアウトの見直しでした。
別案件として医療機器関連の加工案件が増え始めたのです。
こちらは多品種少量生産。
頻繁な段取り変更が必要になります。
工場内スペースには限りがあります。
大型設備が占有する面積。
周辺治具の保管場所。
搬送動線。
U社は改めて設備ごとの採算性を比較しました。
すると問題は明確でした。
INTEGREX i-200単体の性能ではありません。
限られた工場スペースと人材を、どの事業へ振り向けるべきかという経営判断だったのです。
社内会議では、
「設備を残す理由」
ではなく、
「残して何を実現するのか」
という議論に変わっていきました。

この事例から学べること
U社の失敗は設備選定ミスではありません。
INTEGREX i-200は期待通りの性能を発揮していました。
加工精度も問題ない。
工程集約効果も出ている。
品質面でも高評価。
それでも投資回収は進みませんでした。
理由は市場環境が変わったからです。
設備投資では、
設備性能
加工能力
サイクルタイム
だけに注目しがちです。
しかし実際には、
案件継続性
顧客依存度
市場変化
人材確保
工場スペース
資金繰り
といった経営要素の影響が大きくなります。
設備は正しかった。
しかし前提条件が変わった。
その結果として苦しい状況になるケースは珍しくありません。
正直な話、「仕事はまだあるから」で売却判断が延び延びになってるケース、本当に多いんですよね。個人的には、稼働率が落ちてきた設備って、待てば待つほど選択肢が狭まっていく感覚があって。売る・残す・移設するの判断は後でいいので、まずは「今この設備がいくらの価値を持ってるか」だけでも知っておいてもらえると、次の一手が打ちやすくなると思います。
INTEGREX i-200事例のまとめ
設備投資後に想定と現実がずれることはあります。
特にEV関連のように市場変化が大きい分野では、計画通りに進まないことも少なくありません。
U社が時間をかけて向き合ったのは、
設備を売るか残すかではなく、
今後の事業にとって最適な資産配分は何かという問題でした。
判断を先送りすればするほど、
減価償却
保守費
電気代
工場スペース
人材負担
といったコストは積み上がります。
重要なのは売却そのものではなく、判断を放置しないことです。
現在の稼働率や資産価値を把握し、自社の選択肢を整理することから始めてみてはいかがでしょうか。
現在使用中の設備であっても、遊休化の兆候が見え始めた段階で市場価値を確認しておく企業は増えています。
今後も使い続けるのか、更新するのか、他事業へ資金を振り向けるのか。
その判断材料を持つためにも、一度現状を整理してみることが大切です。
買取のご相談は下記のリンクからお願いします。長野県の長野市、松本市、上田市、諏訪市など、どちらの地域でも買取させていただきます。
編集長プロフィール
アスメディア 河野(設備活用コンサルタント)
2011年よりリユース業界に携わり、現在は五軸マシニングセンタや複合加工機をはじめとする工作機械の買取査定・売却相談を担当。技術的な知見以上に、「いつ売るか」「どう売れば手取りを最大化できるか」といった経営判断のサポートを得意としています。NHK朝のニュースや日経新聞朝刊にも取り上げられました。趣味はNBA・Bリーグ観戦とバスケットボールのYouTubeチャンネル運営、休日はバーベキュー派です。
お問い合わせ
機械の買取査定・ご相談はこちらからお気軽にお問い合わせください。


