コンテンツへスキップ
ホーム » 中古機械買取ブログ » 買取事例 » 射出成形機の買取事例 » 射出成形機 ファナック ロボショット α-S100iAのケース【買取事例】

射出成形機 ファナック ロボショット α-S100iAのケース【買取事例】

医療用フィルターの特需が去り、クリーンルーム撤去へ

「コロナ禍で導入した設備が、今は思ったほど活躍していない」

そんな状況はありませんか。

当時は必要不可欠だった設備でも、市場環境が変われば役割も変わります。

特に医療関連や衛生用品向けの設備投資は、コロナ禍という特殊な需要環境の中で行われたケースが少なくありません。

今回は、ファナックの電動射出成形機「ロボショット α-S100iA」を導入したものの、特需終了後に設備の位置づけを見直し、前向きな事業最適化として売却を決断した事例をご紹介します。


【注記】

本記事の事例は、お客様の守秘義務保護のため、複数事例をもとに構成・脚色しています。実際の企業名・人物名・設備構成とは異なりますが、製造業で実際に起こり得る意思決定プロセスを再現しています。


なぜロボショット α-S100iAを導入したのか、そして失敗したのか?

2020年。

山梨県内で生活雑貨や日用品向けのプラスチック製品を製造していた成形メーカーA社は、突然の需要変化に直面しました。

従業員数は45名。

主要顧客は日用品メーカーや医療機器関連企業です。

コロナ禍の影響で、不織布マスク関連部品や検査キット向け樹脂部品の引き合いが急増しました。

特に医療用フィルター部品は高精度な寸法管理が求められます。

従来設備では歩留まりが安定せず、クリーンルーム内での量産体制構築が急務となりました。

そこで導入されたのがファナックのロボショット α-S100iAでした。

導入総額は周辺自動化設備を含め約数千万円。

銀行融資と一部補助金を活用した設備投資です。

当時の工場長はこう振り返ります。

「仕事を断る方が損失だった」

「設備を入れれば数年は医療案件が続くと思っていた」

実際、導入直後は想定以上の成果を生みました。

24時間連続稼働。

休日も含めたフル操業。

稼働率は90%を超えました。

クリーンルーム内では常時複数ラインが稼働し、会社の利益を支える主力設備になったのです。

しかし問題は設備ではありませんでした。

市場の変化です。

2022年後半頃から医療関連需要は急減。

2023年には新規案件の大半が終了しました。

かつて毎月発注されていた部品は在庫過多となり、顧客側も生産調整を始めます。

設備は優秀なまま。

しかし仕事が消えていったのです。


ロボショット α-S100iAへの期待と現実のギャップ

ロボショット α-S100iAは精密成形に強みを持つ電動射出成形機です。

寸法安定性や再現性に優れ、医療部品や精密部品との相性は非常に良好でした。

だからこそA社は大きな期待を寄せていました。

しかし期待したのは機械性能だけではありません。

経営陣が期待していたのは、

「医療分野への事業拡大」

でした。

従来の日用品向け製品は利益率が低く、価格競争も激しい市場です。

一方、医療関連部品は利益率が高く、継続案件になりやすい。

そう考えていたのです。

ところが実際には、

医療案件の多くがコロナ禍特有の需要でした。

市場が平時へ戻るにつれ、案件は次々と終了。

結果として残ったのは高性能な設備とクリーンルームでした。

本業である生活雑貨向け製品に戻ると、新たな問題も見えてきます。

100トンクラスの成形機が必ずしも適正サイズではなかったのです。

既存製品の多くは50〜80トンクラスで十分対応可能。

α-S100iAを使うと能力を持て余すケースが増えていきました。

稼働率は90%超から30%前後まで低下。

減価償却費だけが毎月発生します。

さらにクリーンルーム維持費も重くのしかかりました。

空調管理。

温湿度管理。

定期点検。

フィルター交換。

電気代。

案件がなくなっても固定費は消えません。

工場長はこう語ります。

「機械は悪くない」

「むしろ性能は最高だった」

「ただ、今の仕事に合わなくなった」

設備投資でよくある失敗は、設備選定の失敗ではありません。

市場前提が変わることです。


売却判断を難しくした理由

設備を売れば終わり。

そんな単純な話ではありませんでした。

まず経営陣の中には強い愛着がありました。

コロナ禍の苦しい時期。

会社を支えてくれた設備だったからです。

実際、この設備のおかげで売上は大幅に伸びました。

従業員の雇用も守れました。

利益も確保できました。

その功労者を手放すことに抵抗感があったのです。

さらに会計面の問題もありました。

導入からまだ数年。

帳簿上の残存価値が大きく残っています。

売却価格によっては特別損失計上の可能性もありました。

銀行への説明も必要になります。

「なぜ主力設備を売るのか」

金融機関からそう問われることも想定されました。

また現場からは別の意見も出ます。

「また医療案件が戻るかもしれない」

「残しておいた方がいいのではないか」

過去の成功体験が判断を鈍らせるのです。

しかし現実は厳しいものでした。

年間保守費。

クリーンルーム維持費。

電気代。

定期点検費用。

稼働していない設備にもコストは発生します。

さらに将来的にはNC制御系の故障リスクもあります。

電子部品の供給環境は以前ほど安定していません。

設備は放置しても価値が上がるわけではないのです。


現在の設備価値を把握せずに判断を先送りすると、選択肢そのものが減ってしまうことがあります。

今すぐ売却を決める必要はありません。

まずは設備の市場価値や今後の選択肢を整理することが重要です。

設備の査定や相談はこちらから確認できます。


なぜ今、見直しを決断したのか

最終的な転機になったのは工場スペースの問題でした。

A社では新たな事業として組立工程の内製化を検討していました。

しかしスペースがありません。

稼働率の低いクリーンルームが大きな面積を占有していたのです。

社内で検討を重ねた結果、

「設備を残す理由」

よりも

「スペースを有効活用する理由」

の方が大きくなりました。

しかもロボショット α-S100iAは比較的新しい年式でした。

市場評価も高い時期です。

経営会議ではこう結論づけられました。

「設備を売るのではない」

「工場全体を最適化する」

設備売却は目的ではなく手段。

工場レイアウト再編と事業再構築のための判断だったのです。

その後クリーンルームの一部は解体。

組立工程や検査工程へ転換されました。

新規顧客向けスペースも確保されます。

結果として工場全体の生産性は改善しました。


ロボショット α-S100iAの事例から学べること

設備投資は失敗だったのでしょうか。

A社の経営陣はそう考えていません。

導入当時は正しい判断でした。

実際に利益も生みました。

雇用も守りました。

問題は設備投資ではなく、

市場環境が変わったことです。

製造業ではよくある話です。

EV案件が消える。

半導体案件が減る。

海外移転が進む。

顧客の製品戦略が変わる。

設備は変わらなくても事業環境は変わります。

だからこそ重要なのは、

「導入した設備を持ち続けること」

ではありません。

「今の経営環境に合っているかを見続けること」

です。

過去の成功体験に縛られないこと。

設備への愛着だけで判断しないこと。

固定費やスペースコストも含めて考えること。

それが設備投資後の経営判断では求められます。


まとめ

ロボショット α-S100iAは、コロナ禍の医療特需を支えた重要な設備でした。

しかし需要環境が変わり、会社の事業構造も変化しました。

その結果、設備の役割も変わったのです。

今回の判断は設備の失敗ではありません。

会社全体の最適化を目指した経営判断でした。

設備を残すべきか。

更新するべきか。

活用方法を変えるべきか。

あるいは整理するべきか。

答えは企業ごとに異なります。

ただ一つ言えるのは、判断を先送りにし続けることが最善とは限らないということです。

現在の設備価値と将来の活用可能性を把握した上で、選択肢を持つことが大切です。

工場の将来を考える上で、

まずは現状把握から始めてみてはいかがでしょうか。

設備を売るかどうかを決める前に、現在の資産価値や市場評価を知ることで見えてくる選択肢があります。更新、配置転換、継続保有、売却など、経営判断の材料は多いほど有利です。設備の活用方針に迷われている場合は、一度現状を整理し、客観的な価値を確認してみてください。

お問い合わせ

機械の買取査定・ご相談はこちらからお気軽にお問い合わせください。

    ファイルのアップロード

    (送信1回につき3枚のみ。4枚以上の場合は自動返信メールに添付してご送信下さいませ。)