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ファナック ロボドリル α-D21MiB5を4台導入し後悔したケース【買取事例】

スマホ特需の終焉と、動かなくなった2台の行方

「ロボドリルを増設したものの、思ったほど稼働していない」

「売却するべきか、それとも次の仕事を待つべきか」

そんな悩みを抱えている経営者や工場長の方もいるのではないでしょうか。

設備投資を行った時点では、誰も数年後の市場環境までは予測できません。

特に2020年代前半は、半導体不足やスマートフォン需要の急拡大によって、多くの加工会社が増産対応を迫られました。

しかし、市場が永遠に成長し続けるとは限りません。

今回は、ファナック ロボドリル α-D21MiB5を4台一括導入した福井県の精密切削加工会社が、受注環境の変化と向き合いながら設備整理を決断した事例を紹介します。


【注記】

本記事の事例は、お客様の守秘義務保護のため、複数事例をもとに構成・脚色しています。実際の企業名・人物名・設備構成とは異なりますが、製造業で実際に起こり得る意思決定プロセスを再現しています。


なぜロボドリル α-D21MiB5を導入したのか、そして失敗したのか?

福井県で精密アルミ切削加工を行うA社。

従業員数は15名。

主な取引先は、

  • 半導体製造装置メーカー向け部品メーカー
  • スマートフォン関連部品メーカー
  • 電子機器メーカー

でした。

2021年から2022年にかけて、A社にはかつてないほどの受注が舞い込みます。

半導体不足による設備増強。

スマートフォン需要の急増。

電子部品市場の活況。

特にアルミ部品の加工依頼が急増し、既存設備だけでは納期対応が難しくなっていました。

社長のA氏は当時をこう振り返ります。

「断る案件が増えていたんです。納期を守れないから受注できない。設備さえあれば売上はもっと伸ばせると思っていました」

そこで決断したのが、ファナック ロボドリル α-D21MiB5の4台同時導入でした。

設備投資額は周辺機器を含め約7,000万円。

さらに、

  • ものづくり補助金の活用
  • 金融機関からの設備融資
  • 一部リース契約

を組み合わせて導入が進められました。

当時の工場は活気に満ちていました。

新設ラインでは黄色いパトライトが絶えず点滅し、昼夜稼働が続きます。

稼働率は90%超。

段取り時間を削減しながら次々と案件をこなしていました。

A社長にとって、この投資は会社の成長を象徴する一手だったのです。


ロボドリル α-D21MiB5への期待と現実のギャップ

設備導入時に期待していたのは単なる売上増加だけではありませんでした。

人材不足への対応

地方の加工業では若手採用が年々難しくなっています。

熟練者に依存しない生産体制を構築することも目的でした。

ロボドリルの導入によって、

  • 段取り標準化
  • 夜間運転
  • 生産能力向上

を実現したかったのです。

利益率の改善

稼働率が高い状態であれば、

設備投資による固定費増加を上回る利益が見込めました。

受注量も右肩上がり。

当時は誰も問題視していませんでした。

しかし状況は急変します。

2023年後半から徐々に受注が鈍化。

2024年になるとスマートフォン市場の伸びが止まり始めます。

さらに半導体業界では在庫調整が進み、設備投資も減速。

A社の主要顧客からの発注量が目に見えて減り始めました。

そして2025年。

最盛期と比較すると受注量は約30%減少。

4台増設した設備のうち2台は遊休状態となりました。

稼働率は50%以下。

週に1日しか動かない月もあったといいます。

工場の照明が落ちた夕方。

静まり返った機械の前を通るたびに、社長の気持ちは重くなっていきました。


売却判断を難しくした理由

設備整理は簡単な話ではありません。

数字だけでは判断できない事情がありました。

「また仕事が戻るかもしれない」という期待

最も大きかったのはこれです。

製造業には波があります。

忙しい時期もあれば暇な時期もある。

だからこそ社長は、

「今売ったら次の波に乗れなくなるのではないか」

と考えていました。

実際、多くの経営者が同じ悩みを抱えます。


補助金設備という心理的な壁

今回の設備は補助金を利用して導入しました。

補助金で導入した設備には特有の重さがあります。

税金を使って導入した設備を手放すことへの抵抗感。

社内からも、

「せっかく入れたのに」

という声がありました。


毎月発生する固定費

設備が止まっていても費用は消えません。

例えば、

  • リース支払い
  • 融資返済
  • 保守契約費
  • 電気基本料金
  • 工場スペース維持費

などです。

加工していなくてもお金は出ていきます。

A社の場合、遊休設備2台だけでも年間数百万円規模の負担になっていました。


NC故障リスクへの不安

高年式設備であっても電子部品は経年劣化します。

動かしていない機械でも故障リスクはゼロではありません。

仮に将来使う予定だったとしても、

いざ再稼働しようとした時に修理費が発生する可能性があります。

設備を保有し続けること自体がリスクになり始めていました。


銀行との対話

金融機関との面談でも話題になりました。

銀行担当者はこう言います。

「設備を残す選択もあります。ただ資金繰りを優先する方法もあります」

決して売却を勧めたわけではありません。

しかし、

設備を保有することだけが正解ではない

という視点を示されたことで、社長の考え方にも変化が生まれました。


設備の価値は、使っている時だけでなく、使わなくなった時にも変化します。

現在の資産価値を把握しておくことで、更新・保有・整理という複数の選択肢を比較しやすくなります。

現状確認の一つとして相談してみるのも方法です。


なぜ今、見直しを決断したのか

転機となったのは2025年春でした。

中古機械の情報誌に掲載されていた買取案内です。

高年式のロボドリルに海外需要があるという内容でした。

最初は半信半疑だったといいます。

それでも試しに査定を依頼してみました。

結果は予想以上でした。

導入から年数が浅く、

状態も良好。

市場価値が残っていたのです。

そこでA社は社内会議を開きます。

議題はただ一つ。

「このまま保有するか、それとも整理するか」

議論は数週間続きました。

工場長は慎重派でした。

「受注が戻ればまた必要になる」

一方で経理担当者は数字を示します。

「今の受注量なら2台で十分対応できます」

最終的に社長が見たのは未来でした。

受注が戻るかどうかではなく、

次の成長分野に投資できるかどうか。

その結果、

4台中2台を整理する決断を下します。

得られた資金は、

  • 設備残債の圧縮
  • 運転資金確保
  • 自動車試作部品向け営業活動

へ振り向けられました。

守りの判断ではなく、次の仕事を作るための判断だったのです。


ロボドリル α-D21MiB5の事例から学べること

この事例を振り返ると、設備投資そのものが失敗だったとは言い切れません。

もし2022年に設備を入れていなければ、

急増した受注に対応できず、

多くの案件を失っていた可能性があります。

問題だったのは、

設備導入ではなく、

市場環境が想定より早く変化したことです。

製造業では、

  • EV関連案件
  • 半導体案件
  • 医療機器案件
  • 航空機案件

など、成長分野であっても波があります。

設備投資は将来への賭けでもあります。

だからこそ重要なのは、

「導入判断」

だけではなく、

「見直し判断」

です。

保有し続ける理由が感情になっていないか。

稼働率はどうか。

利益率はどうか。

設備が将来の成長を支えているのか。

こうした視点を定期的に確認する必要があります。


まとめ

工場から2台のロボドリルが搬出された日。

A社長は複雑な気持ちだったといいます。

成長への期待を込めて導入した設備でした。

忙しかった時代を支えてくれた設備でもあります。

しかし、その判断によって資金繰りは改善し、新しい市場へ挑戦する余力が生まれました。

設備を残すことも経営判断です。

設備を整理することも経営判断です。

どちらが正しいかではありません。

大切なのは、状況が変わっているにもかかわらず判断を先送りしないことです。

動いていない設備の存在が、次の成長機会を奪っていないか。

その問いを持つことが、製造業経営において欠かせない視点なのかもしれません。


現在使用頻度が下がっている設備がある場合、すぐに手放す必要はありません。

ただし、今の資産価値を把握しておくことで、保有・更新・整理といった選択肢を冷静に比較できるようになります。

設備の状態や市場価値を確認しながら、将来の事業計画と照らし合わせて判断することが重要です。現状把握から始めたい方は、設備資産の確認や相談を検討してみてください。

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