マザックの自動化だけでは埋まらない“隙間”。協働ロボットが補う新しいライン最適化

マザックのPALLETECHやFMSを導入して自動化を推進されている生産技術課長様や工場長様へ。

これまで、投資判断から設置、立ち上げまで、多くの苦労を重ねてきたはずです。経営層への説明資料を何度も作り直し、現場との調整に時間を費やし、ようやく稼働にこぎつけた。

そして今、その成果を実感されている頃かもしれません。長時間の無人運転が実現し、加工精度も安定した。夜間も機械が動き続け、生産性は確実に向上しました。数字で見れば、投資対効果は悪くない。

しかし、ある日ふと気づくのです。

「なぜ、まだ人が張り付いているのだろう」と。

加工が終わったワークをエアブローで清掃する作業員。バリ取りを待つ製品の山。検査場で目視確認を続けるベテラン作業者。トレーへの仕分けに追われる若手社員。

パレットが規則正しく循環し、工作機械が正確に加工を繰り返す。FMSが高速で回転しているのに、その周辺では変わらず人が動いている。この光景に覚えはないでしょうか。

決してあなたの工場だけではありません。むしろ、これは自動化に成功した企業だからこそ見えてくる、次のステージの課題なのです。

マザックが自動化したのは”中核”であり、その周辺には依然として手作業の領域が広がっている──この事実と、どう向き合うべきなのでしょうか。


専用自動化の完成度と、そこに残る”穴”

マザックの自動化システムは、工作機械メーカーの中でも群を抜いた統合性を誇ります。

PALLETECHシステムが実現する長時間無人運転、多機種の統合管理、高度なパレット管理──これらは製造業の自動化において、ひとつの到達点とも言えるでしょう。

数億円規模の投資を決断したのは、この完成度への信頼があったからです。そしてその判断は正しかった。主工程の自動化は、期待以上の成果を上げています。

それでも、現場を歩けば必ず目にする光景があります。

加工前後のバリ取り、洗浄、エアブロー。製品の外観検査や寸法測定。加工後の仕分け、トレー詰め、マーキング作業。そしてトラブル対応や、ワーク形状が変わったときの段取り調整。

これらの工程は、FMSやパレットプールの自動化対象に含まれにくい性質を持っています。なぜなら、マザックの自動化は「加工工程の連続性」に最適化されているからです。

ワークがパレットに載り、機械に入り、加工され、次のステーションへ移動する──この流れは完璧に設計されています。

しかし、その前後に発生する「不定形な作業」「判断を伴う作業」「例外処理」は、専用システムの守備範囲外になりやすいのです。

たとえば、加工後のワークに付着した切削油の除去。これはエアブローや洗浄が必要ですが、ワークの形状や材質によって吹き付ける角度や強さを変える必要があります。

あるいは外観検査。傷や打痕の判定には、長年の経験に基づく「目利き」が求められます。こうした作業は、専用機で自動化しようとすると設備が大型化し、投資額が跳ね上がります。

結果として、「人が見張っていないと回らない」「夜間は結局止まる」という現実が生まれます。高額な自動化投資をしたにもかかわらず、ラインの稼働率は思ったほど上がらない。

夜勤の人員削減も進まない。そんなジレンマを抱える工場長や生産技術担当者は少なくありません。

ある建機部品メーカーの工場長は、こう語ります。

「PALLETECHを入れて加工は自動化できた。でも、その前後で人手が必要になって、結局24時間稼働はできていない。投資効果は出ているが、もう一歩踏み込めない歯がゆさがある」

この”もう一歩”を、どう実現するか。それが今、多くの製造現場で共有されている課題なのです。


協働ロボットが切り開く”第2層の自動化”

ここで注目されているのが、協働ロボットという存在です。

テックマン(Techman)やユニバーサルロボット(UR)に代表される協働ロボットは、マザックの自動化とは異なる哲学で設計されています。安全柵が不要で、人の隣で動ける。

カメラを内蔵し、視覚的な判断ができる。ティーチングが直感的で、現場の担当者でも扱いやすい。

そして何より、既設ラインを壊さず、後付けで連携できるのです。

たとえば、マザックの横型マシニングセンタの隣にテックマンロボットを配置したとします。加工が完了したワークを自動で取り出し、カメラで外観を検査し、OK品だけを指定のトレーに仕分ける──これだけのシステムを、既存ラインに組み込むことができます。

投資額は数百万円。それで1人分の人手が削減でき、夜間稼働が2〜3時間延長できるなら、投資回収は2年程度で可能です。FMSのような大規模投資と比べれば、意思決定のハードルははるかに低い。

協働ロボットは、マザックの自動化が得意とする「主工程の無人化」を補完する、“第2層の自動化”を担う存在なのです。

ある自動車部品メーカーでは、マザックのINTEGREXで加工した製品の検査工程にテックマンロボットを導入しました。

これまで作業者が1個ずつ目視で確認していた工程を、ロボットのカメラで自動判定するようにしたのです。導入後、検査のバラツキが減り、不良品の流出が半減。

さらに夜間も検査が継続できるようになり、朝のワーク滞留がなくなりました。

「マザックのラインは素晴らしいが、その価値を最大化するには周辺を埋める必要があった。協働ロボットは、そのピースとして最適だった」──担当者の言葉です。


“二層構造”が生む、真の無人化ライン

マザックの自動化を第1層、協働ロボットを第2層と捉えると、工場の自動化は立体的な構造を持ち始めます。

  • 第1層(マザック): 主工程の無人化・長時間稼働
  • 第2層(協働ロボット): 周辺工程・補助作業の柔軟な自動化

この二層構造によって、工場全体の稼働率は10〜20%向上する可能性があります。

なぜなら、これまで「人待ち」だった工程がなくなり、FMSが本来持つポテンシャルを最大限に引き出せるようになるからです。

具体的な効果を見てみましょう。

ある精密部品メーカーでは、マザックの5軸加工機とPALLETECHを導入していましたが、加工後のバリ取りと洗浄に人手がかかり、夜間稼働ができませんでした。

そこで協働ロボットを2台導入。1台はバリ取り、もう1台は洗浄とトレー積載を担当させました。

結果、夜間3時間の無人稼働が可能になり、月産能力が15%向上。作業者2名を他の工程に配置転換でき、人件費削減効果は年間約800万円。協働ロボット2台の投資額は約1000万円でしたから、1年半で回収できた計算です。

さらに、協働ロボットは段階的な拡張が容易です。最初は1台で検査工程を自動化し、効果が確認できたら次はバリ取り、その次はトレー積載──といった形で、投資リスクを抑えながら自動化範囲を広げていけます。

これは専用システムにはない柔軟性です。マザックのFMSは「一度に全体を設計する」性質が強く、後から機能を追加するのは容易ではありません。一方、協働ロボットは「必要なところから、必要な分だけ」導入できます。

この柔軟性こそが、マザックの自動化と組み合わせることで初めて、”真の無人化ライン”を完成させる鍵なのです。


テックマンロボットが選ばれる理由

数ある協働ロボットの中でも、テックマンロボットが製造現場で選ばれている理由があります。

まず、カメラとAI認識が標準装備されている点です。外観検査や位置補正、QRコード読み取りに追加機器が不要なため、システムがシンプルになり、トラブルも減ります。

システム連携も柔軟です。マザック機の入出力信号やPLC経由での連携実績も豊富にあります。実際に、INTEGREXとTM12を組み合わせてワーク搬送を自動化した国内事例も報告されています。

そして省スペース。安全柵が不要なため、既存のFMS周辺やワーク搬送エリアに設置できます。「場所がない」という理由で自動化を諦めていた工程にも、導入の可能性が開けるのです。

ある工場では、マザックの立型マシニングセンタと壁の間にわずか2メートルのスペースしかありませんでしたが、テックマンロボットTM12を設置することができました。

このロボットが加工後のワークを取り出し、隣の測定器で寸法検査を行い、OK品だけを搬送するという一連の流れを自動化。狭小スペースでも十分に機能しています。

特に「加工後のワーク検査・洗浄・マーキング」といった軽作業では、テックマンロボットが”人の手の代わり“として最も適しています。



投資回収の現実的なシナリオ

協働ロボット導入の投資回収について、もう少し具体的に見てみましょう。

一般的に、テックマンロボット1台の導入費用は、周辺機器や設置費用を含めて300〜600万円程度です。これに対して得られる効果は以下の通りです。

人件費削減効果: 1名分の人件費を年間500万円と仮定すると、0.5名分でも年間250万円の削減効果があります。

稼働時間延長効果: 夜間2時間の稼働延長により、月産能力が約8〜10%向上。売上増加効果は製品によりますが、年間で数百万円規模になることも珍しくありません。

品質安定化効果: 検査バラツキの削減により不良品が減少。クレーム対応コストや手直し工数の削減効果も無視できません。

これらを合計すると、年間で300〜500万円の効果が見込めます。つまり、2〜3年で投資回収が可能というのは、決して机上の空論ではないのです。

さらに重要なのは、協働ロボットは「使いながら学習できる」点です。最初は単純な搬送作業から始め、慣れてきたら検査や組み付けへと展開していく。

こうした段階的な拡張により、投資リスクを最小化しながら効果を最大化できます。


導入における現実的な課題と対策

もちろん、協働ロボットの導入にも課題はあります。

最も多く聞かれるのが「ティーチングが難しそう」という不安です。しかしテックマンロボットの場合、タッチパネルで直感的に操作でき、ロボットアームを手で動かして位置を記憶させる「ダイレクトティーチング」も可能です。

実際、ロボット経験のない現場担当者でも、1週間程度の研修で基本的な操作ができるようになります。

次に「既設ラインとの連携」です。マザック機との信号連携やタイミング調整には、ある程度の技術が必要です。

しかし、多くの場合、ロボットメーカーや販売代理店がシステムインテグレーションをサポートしてくれます。実機デモや事前検証も可能ですから、導入前にリスクを洗い出すことができます。

そして「投資判断のハードル」。数百万円とはいえ、新たな設備投資には稟議が必要です。ここで重要なのは、ROI(投資対効果)を明確に示すことです。

人件費削減、稼働時間延長、品質向上といった効果を定量化し、回収期間を算出する。多くのロボットメーカーは、こうした試算をサポートしてくれます。


自動化の完成度を、もう一段高めるために

マザックの自動化は、基幹ラインの自動化を高次元で実現します。それは疑いようのない事実です。

しかし「周辺工程」「多品種対応」「人手不足への対応」といった課題は、専用システムだけでは解決しきれません。そこに協働ロボットという選択肢を加えることで、自動化の完成度はさらに高まります。

専用システムの完璧さに、柔軟性という武器を加える。それが、これからの製造現場に求められる”二層構造の自動化”なのです。

考えてみてください。マザックのFMSに数億円を投資したあなたの工場で、その投資効果をさらに10〜20%高められるとしたら。

夜間稼働が延長でき、人手不足が解消でき、品質も安定するとしたら。そして、その追加投資が数百万円で済むとしたら──。

協働ロボットは、マザックの自動化を否定するものではありません。むしろ、その価値を最大化するための「最後のピース」なのです。

もし、あなたの工場でも「PALLETECHの外で人が動いている」「FMSを入れたのに、夜間は結局止まってしまう」そんな課題をお持ちなら──テックマンロボットで”自動化の最後の一手”を打ちませんか。

実機デモ、費用試算、ROIシミュレーション。まずは小さな一歩から始めることができます。自動化の完成形は、すぐそこにあるのです

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