試算!5,000万円の五軸マシニングセンタを6年間放置するとコストがいくら発生するのか?

はじめに:倉庫に眠る「遊休資産」は、実は「最凶の負債」かもしれません。

あなたの工場の隅に、あまり稼働していない、あるいは全く使われずに電源が落とされたままになっている高額な工作機械はありませんか?

「いつか使うかもしれない」「売却するのは惜しい」― その気持ちは痛いほどよく分かります。しかし、その“遊休資産”は、あなたが知らないうちに、恐ろしいほどのコストを日々垂れ流し続けています。遊んでいる機械は、ただの「金属の塊」ではなく、会社のキャッシュフローを蝕む静かなる癌なのです。

本記事では、高性能な5軸加工機をモデルに、その放置コストを徹底的に試算し、工場経営者が陥りがちな「見えない負債」の正体を、具体的な金額をもって暴き出します。

今回試算するのは、高性能・高価格帯の代表格:ヤマザキマザック VARIAXIS i-600 です。


【衝撃のモデル】5,000万円の機械をたった6年間放置した結果

今回、試算のモデルとして以下の現実的な条件を設定します。

  • 機種: ヤマザキマザック VARIAXIS i-600(高性能5軸マシニングセンタ)
  • 購入価格: 5,000万円(2018年に新品購入、高機能オプション込みの価格を想定)
  • 使用状況: 2年間稼働(2018年〜2019年)
  • 放置期間: 6年間(2020年〜2025年まで)
  • 法定耐用年数: 10年(マシニングセンタの税法上の年数)
  • 償却方法: 定率法(償却率 0.200)で計算

この「たった6年間放置」した期間に、一体いくらのコストが発生しているのでしょうか?コストを「会計上の固定費」「現金を伴う維持費」、そして最も重要な「見えないコスト」に分けて詳細に見ていきましょう。


1.【キャッシュアウトなし!?】会計上の固定費:約 2,720万円

機械を止めても、会計上の費用は待ってくれません。このコストは現金の支出を伴わない部分が大きいですが、企業の損益計算書(P/L)に重くのしかかり、税務上の利益を減らし続ける要素です。

放置期間(6年間)で発生した会計上の固定費(合計 約2,720万円):

  • 減価償却費:約 2,360万円
    • 購入価格5,000万円を定率法で償却。放置期間の6年間だけで、機械の帳簿上の価値がこれだけ失われたことになります。機械が工場に設置されている限り、この価値の減少は止められません。
    • 計算上、2025年末の帳簿価格は約1,048万円になりますが、実際の市場価値はさらに低い可能性があります。
  • 固定資産税:約 300万円
    • 機械が所在する自治体に、毎年課税される地方税です。機械の評価額に基づいて計算されるため、償却が進むにつれて税額は減少しますが、所有している限り支払い義務は継続します。
  • 保険料:約 60万円
    • 火災、水害、盗難などに備える動産総合保険料などです。保険は機械が動いていなくても、資産を守るために必須の支出です。

この約2,720万円は、機械が生産活動に全く貢献していないにもかかわらず、計上され続けたコストです。


2.【地味だが確実】現金を伴う維持・管理コスト:約 1,560万円

「電源を切っているからタダ」という考えは、精密機械である工作機械においては致命的な誤解です。高性能な5軸加工機は、放置すればするほど、故障リスク再稼働コストが高まります。これを防ぐための費用が、この維持・管理コストです。これは、実際に銀行口座から現金が流出していく費用です。

放置期間(6年間)で発生した維持・管理コスト(キャッシュアウト)(合計 約1,560万円):

  • スペース占有コスト:600万円
    • 機械が占拠している床面積の賃料相当額です。東京や大阪などの都市部であれば、この金額はさらに高騰します。この機械がなければ、別の収益を生む機械を置いたり、あるいはスペースを賃貸に出すことも可能でした。
  • 保守契約費:300万円
    • 年間保守契約料。放置期間が長くなるほど、メーカー側も故障リスクを懸念し、契約を維持する費用が高くなる傾向があります。これは、再稼働時の予期せぬトラブル修理費用を抑えるための予防コストです。
  • 空調・環境維持割当:240万円
    • VARIAXIS i-600のような精密機械は、錆(さび)や電子部品の不良を防ぐため、一定の湿度・温度管理が必要です。工場全体の空調費用が、遊んでいるこの機械にも按分されます。
  • 待機電力・補機電力:180万円
    • 完全に電源を落とすことができない機器(制御装置、バッテリーバックアップ、クーラント腐敗防止ヒーターなど)の待機消費電力。1.5kW程度の微小な電力でも、6年間(52,560時間)積算すると、この規模になります。
  • 設備維持・点検:180万円
    • 最低限の防錆処理、潤滑油循環、軸の固着防止のための月次または四半期ごとの点検作業費です。放置は機械を傷めます。
  • 劣化リスク対応:120万円
    • ゴムシール、ガスケット、絶縁体、配線など、経年による自然劣化に対する予防保全費用や、小規模な部品交換費用。

3.【最重要項目】最凶の負債:「見えないコスト」の真実

ここまでの会計上の固定費(2,720万円)と維持・管理費(1,560万円)を合計すると、6年間放置しただけで、約 4,280万円という、驚愕の金額に達します。

しかし、最も恐ろしく、経営を圧迫するのは、この計算に含まれない「見えないコスト」です。これこそが、工場経営者が最も対策すべき「最凶の負債」です。

放置によって生まれた「見えないコスト」(最凶の負債):

1. 最大の損失:資本の機会費用(Opportunity Cost)

  • 資金のロック: 5,000万円という巨額の資金が、動かない機械に「金属の足枷」としてロックされています。
  • 利益の損失: もし、この5,000万円を、市場の変化に対応できる最新のIoT対応ロボットや、新たな事業展開、あるいは高付加価値な人材育成に投じていれば、その投資から得られたはずの利益は莫大です。
  • 機会費用の試算: 仮に年5%で運用できていたとすれば、6年間で約1,700万円以上の利益機会を逃したことになります。この機会費用は、上記すべてのコストを上回る、経営判断ミスによる最大の損失です。

2. 信頼性の壊滅的打撃と再稼働コスト

  • 故障確率の急増: 機械は使われないことで逆に劣化が進みます。ベアリングのグリス固着、油圧システムのシール硬化、電子基板の絶縁不良などが進行します。
  • 再稼働費用の爆発: 「いざ使う」となった時、動作不良を起こす確率は極めて高く、その際の修理・調整費用(再稼働費用)は予期せぬ巨額の出費(数百万円単位)となります。この費用は通常の保守では賄えず、突発的な赤字を生みます。

3. 技術的な陳腐化(テクノロジーリスク)

  • 2018年製の機械は優秀ですが、2025年時点では、さらに高精度で省エネ、かつAIを搭載した次世代機が登場しています。
  • 放置期間が長引くほど、機械の性能と市場の要求とのギャップが広がり、高付加価値な仕事を受注できる機会を失います。

4. 価値の急落(売却時の損失)

  • 2018年式のVARIAXIS i-600の優良中古相場は2,000万円〜2,500万円程度です。しかし、「長期放置機」というレッテルは市場で非常に嫌われます。
  • 売却時、バイヤーは放置による故障リスクを警戒し、相場よりも大幅に低い金額での取引を要求してきます。価値の下落幅が、そのまま確定した損失となって跳ね返ってきます。

結論:「最凶の負債」を「現役の資産」に戻すために

2018年に5,000万円で購入した高性能なVARIAXIS i-600は、6年間放置されただけで、会計上の費用だけでも約4,280万円ものコストを垂れ流しました。これに巨大な機会費用が加わります。

この遊休資産が「最凶の負債」と化す前に、取るべき行動は二つしかありません。

  1. すぐに再稼働させる: 整備して、何らかの生産に組み込み、機械を資金回収のサイクルに戻す。
  2. 売却して資金化する: 現実的に再稼働の予定がないのであれば、早急に売却し、資金を「機会費用」の発生しない形で回収・有効活用する。

最新の工作機械は技術革新のスピードが速く、数年放置しただけで陳腐化が進みます。今が、この負債を現金に変えることができる最後のチャンスかもしれません。

もし、貴社で保有されている高額な工作機械が「負債化」していると感じられたら、まずはその機械の適正な市場価値を把握することから始めませんか?


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