DMG森精機やマザックの自動化システムと協働ロボット、どちらを選ぶ?

工場の自動化を考えている社長の皆さまへ。

正直に言います。この数年、製造現場を回っていて感じるのは、自動化の選択肢が増えすぎて、かえって迷っている経営者が多いということです。

DMG森精機やマザックが提案してくるFMS(フレキシブル生産システム)やパレットチェンジャーは確かに魅力的です。

でも見積もりを見て目が点になる。。。

一方で、ユニバーサルロボットやファナックのCRXといった協働ロボットは手の届く価格だけれど、「本当にこれでいいのか?」という不安が残る。

現場で何度も聞かれるのは、こんな質問です。

「メーカーの自動化ではできないことを協働ロボットで補うのか?」
「高額すぎるから協働ロボットで妥協するのか?」
「それとも、両方必要なのか?」

この記事では、その答えを、現場で見てきた実例をもとにお伝えします。最後には、自動化を進める過程で避けて通れない「古い機械の整理」についても触れます。投資だけでなく、資金回収の視点も忘れてはいけません。


メーカー自動化ソリューションの特徴

DMG森精機やマザックといった工作機械メーカーが提供する自動化システム。これは一言で言えば、「ガチガチに組まれた生産インフラ」です。

パレットプール、ロボットセル、FMS、AGV──すべてが自社製の工作機械と完璧に統合されている。だからこそ、長時間の無人運転が可能になり、大量生産や中ロットの安定稼働に圧倒的な強さを発揮します。

でも、これには代償がある。

初期投資は数千万円単位。しかも、拡張するたびに費用が膨らんでいく。つまり、ある程度の生産規模がなければ、採算が合わないのです。

現場で何度も見てきました。素晴らしいシステムを導入したのに、ロット数が足りずに稼働率が上がらない。結果、高額な設備が「宝の持ち腐れ」になってしまうケースを。

メーカー自動化は、「大規模・専用・高効率」の三拍子揃った、本気の投資だと理解してください。


協働ロボットの特徴

一方、協働ロボットは真逆の存在です。

「柔軟・小規模・低額」──これが協働ロボットのキーワードです。

既存の工作機械に後付けできる。ワークの脱着、段取り、簡易検査、仕分け。こうした「単純だけど人手が必要な作業」を任せられる。しかも、安全柵なしで人と同じ空間で動かせる。

町工場のような少人数の現場では、これが劇的に効くんです。

私が訪問したある町工場では、従業員がたった8人。多品種少量で回している。

そこに協働ロボットを1台入れただけで、夜間に2時間無人運転ができるようになった。社長は「これで夜中に工場に来なくて済む」と、本当に嬉しそうでした。

導入コストは数百万円程度から。専用システムに手が出ない中小企業にとって、協働ロボットは現実的な選択肢なんです。


両者の切り分け方

ここまで読んで、気づいた方もいるでしょう。

メーカー自動化と協働ロボットは、まったく別物です。

メーカー自動化は、主力機を中心とした生産ライン全体の最適化に向いている。対して協働ロボットは、標準化されたシステムでは拾いきれない例外工程や、小規模ラインでの省人化に強みを持つ。

つまり、両者は競合ではなく補完関係にあるんです。

「メーカー純正のシステムで基盤を作り、協働ロボットで細部を埋める」──これが、現場で機能する実態です。


相互補完の関係性

DMG森精機やマザックのFMS(フレキシブル生産システム)が担うのは、工場の中核的な自動化です。大量生産や安定稼働を支える仕組みとして不可欠。でも、すべての工程を専用システムで自動化するのは非現実的です。

そこで協働ロボットの出番です。

検査、洗浄、仕分け──こうした周辺工程を担う。少量の試作品や特殊工程を柔軟に処理する。専用システムの隙間を、協働ロボットが埋めていくんです。

中小企業にとっては「初めての自動化の入口」になるし、大企業にとっては「専用システムを補助する柔軟なツール」として機能する。

これが、私が現場で見てきたリアルな自動化の姿です。


規模別に協働ロボット導入のシナリオを見てみる

町工場(従業員10〜30名規模)

少人数で多品種少量をこなす町工場。ここでの最大の課題は、人手不足と突発的な休みへの対応です。

協働ロボットは、マシニングセンタやNC旋盤の前に置いてワーク脱着を担当させるだけでも効果的。ノギスやカメラを使った簡易検査、仕分け。夜間に1〜2時間だけ無人運転。

導入コストが小さいから、資金面でも現実的。人材確保が難しい小規模現場にとって、協働ロボットは**「第二の従業員」**なんです。

中堅企業(従業員50〜200名規模)

ある程度の中ロット生産を持つ中堅企業では、FMSやパレットチェンジャーも選択肢に入ります。ただし、すべてのラインに大規模投資を行うのは難しい

ここで協働ロボットが力を発揮します。加工前のバリ取り、洗浄、マーキング。1人の作業者と協働ロボットで2〜3台の機械を同時稼働。

高額FMSと手作業の**「間」を埋める存在**──それが協働ロボットです。

大企業(従業員1000名以上、複数工場)

すでにFMSやAGVを導入している大企業でも、協働ロボットの出番はあります。

少量の試作、特注部品。組立や検査など、人と並んで複雑な作業を分担する場面。これらは協働ロボットが得意とする領域です。

専用システムがカバーできない**「例外工程」**を低コストで埋め、熟練工をより付加価値の高い仕事に回す。これが、生産体制全体の効率向上につながります。


まとめ

整理しましょう。

  • メーカー自動化:大規模・専用・高効率・高額
  • 協働ロボット:柔軟・小規模適性・低額
  • 関係性:競合ではなく補完。専用システムの基盤を協働ロボットが補う

協働ロボットは、「専用システムでは非効率な領域」や「人との協働が必要な作業」に強い。結果的に、メーカー自動化と並び立つ存在になるんです。


機械売却を検討するタイミング

自動化投資を進めると、必ず直面するのが**「古い機械をどうするか」**という問題です。

不要になった機械を置いておくと、スペースを圧迫する。新しい設備を導入する際に搬出コストが余計にかかる。しかも、古い機械を眠らせている間に市場価値が下がっていく。

逆に、早めに売却すれば──資金の確保、スペースの確保、処分リスクの回避。すべてが手に入ります。

自動化への投資と並行して、使わなくなった工作機械の売却も検討する。これが、工場経営における賢い選択です。

弊社では、マシニングセンタ、NC旋盤、プレス機、板金機械などを高価買取し、査定から搬出・運搬まで一貫して対応しています。

もし今まさに自動化・省力化を検討されているのであれば、同時に「古い機械の整理」についてもご相談ください。投資と資金回収を両立させるお手伝いをさせていただきます。

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