はじめに──大切な人を失ったあなたへ
まずは、この記事にたどり着いたあなたへ、心からお悔やみ申し上げます。
親御さんが築き上げた工場や機械資産を、今、あなたが整理しなければならない。その重圧、不安、戸惑い──私自身にも痛いほどわかります。
実は私も、数年前に父を亡くしました。生前は必ずしも仲が良かったわけではありません。それでも、いざ父がいなくなったとき、予想以上に深い喪失感が押し寄せました。悲しみの中、役所の手続きや相続整理、さまざまな現実的な問題にも追われ、心が休まる暇もなかったのを覚えています。
この記事は、そんなあなたに寄り添い、できるだけわかりやすく、安心して機械売却を進められるようにまとめたガイドです。
どうか無理せず、ゆっくり読み進めてください。
中古機械売却の基本を押さえよう
売却の流れはシンプルです
機械の売却というと、「専門知識がないと無理なのでは?」と不安になるかもしれません。でもご安心ください。基本の流れはとてもシンプルです。
- 買取業者に連絡し、見積もり依頼をする
- 機械本体や銘板(型番・製造年記載)の写真を送る
- 現地確認(または写真のみで査定)
- 正式な査定額の提示
- 条件が合えば契約し、搬出作業、代金受取
実際の手続きは、ほとんど業者側が進めてくれます。あなたにお願いするのは、最初の「基本情報の提供」だけです。
搬出費用は心配無用!
「機械って重そうだし、搬出費用がすごくかかるのでは……?」
そんな心配をされる方も多いですが、安心してください。中古機械買取の世界では、搬出費用は原則、買取業者が負担します。
つまり、売主側が別途お金を払うことはほとんどありません。
ただし、
- 極端に搬出が難しい現場(例:天井低すぎ、道路封鎖が必要)
- 機械が非常に古く、価値がゼロに近い場合
などは、まれに搬出費負担が生じるケースもありますので、事前に確認するのがベターです。
それでも、大半の場合「機械を売る=現金化できる」イメージで問題ありません。
売却のために最低限準備しておくこと
本体と銘板の写真を撮る
まず一番最初にお願いしたいのは、機械本体の外観写真と、銘板(ネームプレート)の写真です。
10台、20台と大量に機械がある場合は、大きい機械(幅2m、高さ2m以上あるもの)で、比較的新しそうなものだけで結構です。(古くて小さい機械はほとんど値が付かない場合が多いため)
銘板には、
- メーカー名
- 型番
- 製造年
- 製造番号
など、機械の「身分証明書」のような情報が記載されています。

スマホで構いませんので、できるだけ鮮明に、銘板全体が写るように撮影してください。暗い場所に設置されている場合は、懐中電灯などで照らして撮るときれいに写ります。
銘板がサビや汚れで読めない場合もあります。その場合は、仕様書や納品書、取扱説明書などに記載があることもあるので、探してみてくださいね。
現場の状況を教えてください
次に大切なのは、搬出作業に関わる現場情報です。
- 工場の広さ
- 出入り口の大きさ(シャッターやドアの寸法)
- 天井の高さ
- 道路状況(大型トラックが入れるか)
- 段差や障害物の有無
これらを事前に把握しておくと、業者側もスムーズに準備できます。
写真が撮れればベストですが、ざっくり口頭で伝えるだけでも十分です。
どんな機械があるかをざっくり把握しておこう
「この機械、何に使うものなのか分からない」──そんなふうに不安に思われる方も多いでしょう。ですが、難しく考えなくて大丈夫です。
中古機械の売却にあたって、専門的な知識を持っている必要はありません。大まかに「どのジャンルの機械か」、「どこのメーカーの機械か」だけ分かれば十分です。ここでは、代表的な機械を簡単にご紹介します。
マシニングセンタ
金属やアルミを自動で削る機械で、立体的な加工が得意です。工業製品のパーツ作りには欠かせない存在で、旋盤とは違い、複雑な形状のものも作ることができます。メーカーは、マザック、オークマ、森精機、牧野、ファナック、OKKなどがあります。

NC旋盤
金属の棒材を回転させながら、刃物で削っていく機械です。丸い部品や円筒形の部品を作るのが得意で、精密部品製造に重宝されています。メーカーは、マザック、オークマ、森精機、滝澤鉄工所などがあります。

プレス機
金属板を圧力で押しつぶして形を作る機械です。自動車部品や建築用部材の製造に使われることが多いです。サイズも種類も多岐にわたります。メーカーは、アイダ、コマツ、アマダなどがあります。

射出成形機
プラスチックを溶かして型に流し込み、冷やして固めることで部品を作る機械です。家電製品の部品や、生活雑貨など、身近な製品に多く使われています。メーカーは、日精樹脂、JSW(日本製鋼所)、ファナックなどがあります。

板金機械
金属板を切ったり、曲げたり、穴を開けたりするための機械です。建築資材や筐体(きょうたい)製造に欠かせない存在です。メーカーは、アマダ、相澤、コマツなどがあります。

こうした説明を読んでも、機械を目の前にしても「よく分からない……」という場合は、どうか気にしないでください。写真を撮って送っていただければ、買取業者がしっかりと判断してくれます。
査定金額に影響する意外なポイント
機械の売却価格は、機械の種類や年式、状態だけで決まるわけではありません。現場の状況や事務手続きの内容も意外と大きな影響を与えます。
搬出の難易度
工場内の通路が狭い、搬出口が小さい、駐車場が狭い、道路が細い、交通量が多い、など搬出に手間がかかる場合、クレーン作業や特殊車両が必要になることも。その分、コストがかかり、結果的に査定額が調整される場合があります。
所在地のアクセス
地方の山間部や離島の場合、搬出や輸送にかかるコストが高くなるため、査定額に影響することがあります。都市部に比べて輸送費用がかかる分、どうしても調整が必要になります。
請求書の形式(インボイス対応)
売却時には請求書を発行していただくことになりますが、2023年から施行されたインボイス制度により、適格請求書発行事業者でないと消費税が支払われないケースがあります。
個人名義、またはインボイス未登録の場合は、消費税分が差し引かれることもあるので注意が必要です。わからない場合は、業者に相談すれば親切に教えてもらえますので、心配しないでください。
売却にあたっての注意点と心構え
ここまで読んでくださったあなたなら、もう大まかな流れやポイントは理解していただけたと思います。
ここからは、実際に売却手続きを進める際に、心に留めておきたい注意点やアドバイスをまとめます。
無理に完璧を目指さなくていい
最初からすべての機械の詳細を完璧に把握する必要はありません。わからないことは、正直に「わかりません」と伝えれば大丈夫です。
中古機械買取業者は、その道のプロフェッショナルです。あなたが知らないこと、整理できていないことがあっても、適切にサポートしてくれます。
「とりあえず問い合わせをする」ことから、一歩ずつ進めていきましょう。
早めの行動が高く売るコツ
機械は、時間が経つほど価値が下がっていく傾向にあります。特に、工場閉鎖後しばらく放置されると、サビや劣化が進みます。またバッテリーがあがり機械のメモリのデータが消去されてしまいます。こうなると、査定額に響くことがあります。
また、相続や資産整理の一環として機械売却を進める場合、年度末や年末などに依頼が集中しやすいため、早めに動き出すとより良い条件で売却できるチャンスが広がります。
「今は忙しいから……」と先延ばしにせず、まずは見積もりだけでも依頼してみるのがおすすめです。
信頼できる業者選びを大切に
中古機械の買取業者にも、さまざまな会社があります。
- 明朗な査定基準を持っているか
- 追加費用や条件をしっかり説明してくれるか
- 質問に対して丁寧に答えてくれるか
こうしたポイントを見極めながら、安心して任せられる業者を選びましょう。
万一、強引な営業をされたり、不明瞭な条件を提示された場合は、遠慮せずに断って構いません。あなたが納得できる形で進めることが一番大切です。
亡き親との思い出と向き合いながら
私自身、父が遺したものを整理していたとき、思い出と現実の間で何度も揺れ動きました。
機械ひとつひとつにも、父なりのこだわりや、ものづくりへの情熱が込められていたことを思い知らされる瞬間がありました。
でも同時に、こうして一つ一つ片付けていくことが、父への感謝の形なのだとも思いました。
きっとあなたも、親御さんの想いを胸に、今、ひとつの大きな仕事に向き合っているのだと思います。
どうか無理をせず、ご自身のペースで、少しずつ整理を進めてください。
私たちは、そんなあなたを全力でサポートしたいと心から願っています。
【まとめ】安心して一歩を踏み出そう
- わからないことは、恥ずかしがらずに相談していい
- 写真と簡単な情報があれば、まずは査定ができる
- 搬出費用は基本的に買取業者負担
- できるだけ早めに動くと、高く売れる可能性が高い
- 信頼できる業者を選び、無理なく進めることが大切
亡き親が大切にしてきた工場や機械を、未来へつなぐために。
あなたのその一歩を、私たちは心から応援しています。
機械の買取についてのご相談はこちらからどうぞ。