搬出・運搬費は「無料」じゃない?機械買取の見えないコストに注意!
「機械買取、搬出費込みで無料です!」 「お客様のご負担はゼロです!」
こんなキャッチコピー、最近よく目にしませんか?
確かに、現代の機械買取業者の多くは“搬出費無料”をうたっています。しかしその「無料」、本当にタダなのでしょうか?
実はこの「搬出費無料」という言葉には、見えない落とし穴が潜んでいることがあります。この記事では、その裏側にある業界構造やコストの仕組み、注意すべきポイントについて、実例や現場の声も交えて詳しく解説していきます。
■本当に“無料”なのか?そのカラクリを読み解く
結論から言えば、「搬出費用は無料ではないが、見積に含まれている(相殺されている)」というのが正確です。
例えば、ある機械の市場価値が100万円であっても、搬出や運搬に30万円かかる場合、実際の買取額は「70万円」となるのが一般的です。これは以下のような仕組みです:
- 買取価格の中に搬出・運搬費用が組み込まれている
- 「お客様に見積提示する段階ではすでに差し引かれている」
- 表面上は“無料”でも、実質的にはお客様がコストを負担している構造
このように、「無料」という言葉はあくまで表現の一種であり、そのコストがどこかで帳尻を合わせられていることを知っておく必要があります。
■業者によって違う?トラック保有の有無と価格への影響
買取業者には、大きく分けて次の2タイプがあります:
- トラックやクレーン車を自社で保有している業者
- 運送会社に依頼している業者(委託型)
自社で輸送機材を持っている業者は、外注費がかからないため、比較的買取価格を高く設定できる可能性があります。ただし、こうした業者は全体の中でも少数派です。
なぜなら、
- 車両の維持費・税金・車検コストが重い
- 専属ドライバーや搬出作業員の雇用が必要
- 搬出・運搬は専門業者に任せた方がリスクが低い
といった理由から、多くの機械買取業者は外部の運送会社や重量物専門の解体・搬出会社に作業を依頼しているのが実情です。
■搬出費の構成要素とは?
では、実際に搬出費用とは何に対するコストなのでしょうか?以下のような要素が含まれます:
- 車両の種類と台数(ユニック車、トレーラー、4t車など)
- 搬出作業にかかる時間・日数
- 必要な作業員の人数と日当
- 使用する工具やクレーン、リフトなどの機材費
- 現場の難易度(狭い場所、段差、重量など)
- 設置場所までの距離(交通費・高速代など)
- 繁忙期/閑散期の作業単価変動
複雑な条件が重なると、搬出費用だけで数十万円を超えることも珍しくありません。
■重機械や大型プレスの搬出費は別格
特に注意すべきなのが、重量級のプレス機、シャーリング、成形機などです。
この種の機械は:
- クレーンで吊るすだけでは出せない
- 搬出時に分解(解体)作業が必要
- 特殊な機材(レッカー車など)を使用
といった理由で、搬出工数が非常に高く、買取価格よりも搬出費の方が高くなることもあります。
たとえば、
- プレス機本体の買取価格が100万円
- でも解体+搬出+レッカー代で200万円かかる
となると、売り手に対して請求が発生するケースすらあるのです。
■「搬出費が高すぎて、買取できません」というケースも
実際の現場では、「機械自体には価値があるのに、搬出費がネックになって買い取れない」というケースが珍しくありません。
たとえば、
- 小型の機械であっても工場内のレイアウトの問題で大掛かりな作業が必要
- 出口が狭く、壁やシャッターを一時的に外す必要がある
- 近隣との調整(騒音・交通制限)が必要
このような状況では、10万円〜30万円台の機械でも、搬出に同額以上かかることがあり、業者側が赤字になってしまうため、買取そのものが断られることもあります。
また、機械が古く、状態が悪い場合、スクラップ処分しかできないと判断されれば、
- 「処分費+搬出費」がかさみ、
- 売却ではなく「有料引き取り」になる可能性もあるのです。
■売却前に現地調査(下見)を依頼するメリット
このようなリスクを避けるためにも、売却を検討している段階で「下見(現地調査)」を依頼するのが必ず必要です。
下見では、業者が以下のような点を確認します:
- 工場の搬出口の広さ・高さ・段差
- 設置場所から搬出口までの経路と障害物
- 周辺道路の状況(大型車が通れるか)
- クレーン、フォークリフト、レッカーの使用可否
- 解体の要不要と難易度
これにより、正確な搬出費用が見積もられ、それを踏まえたリアルな買取金額が提示されます。
結果として、
- 売り手は「あとで思ったより安かった…」というギャップを避けられる
- 業者側も適正な準備ができ、段取りがスムーズになる
という双方にとってメリットのある対応になります。
■買取価格が安くなる4つの“搬出リスク要因”
買取業者が見積もり時に気にする搬出コストの高騰リスクには、主に次の4つがあります:
- アクセス性が悪い場所(幹線道路に面している、路地の奥まった場所など)
- フォークリフトが入らない/クレーン作業ができないなど
- 近隣環境が厳しい(五差路に面している・住宅密集地・幹線道路沿い・大型車が進入不可)
- 作業時間や騒音への制限、誘導員の追加人員などが必要になるケースも
- 工場の構造が特殊(2階設置、屋内段差、足場が必要など)
- 仮設工事や足場、解体作業の発生により、費用が大幅増になる
- 解体作業に時間と人数がかかる
- 特殊な固定、改造、周辺機器との接続などにより搬出が複雑化する
これらが複数重なると、搬出費だけで100万円を超えることもあり、結果として“買取価格ゼロ”あるいは“買取不可”の判断につながるのです。
■繁忙期/閑散期で費用が変わることもある
意外と知られていないのが、「時期によって搬出費の見積が変わる」ことです。
繁忙期(3月末、9月末、年末年始前など)は:
- 運送会社・重量屋が非常に混み合う
- 車両手配や人員調整が難しく、価格が上がる傾向
閑散期は:
- 比較的手配しやすく、搬出費を抑えやすい
つまり、同じ条件の搬出でも「いつ行うか」で数万円〜十数万円変わることがあり、
- 少し時期をずらすことで買取額アップにつながる という逆転の発想も可能になります。
■「無料」と書いてあっても確認すべき3つのポイント
買取業者のWebサイトやチラシで「搬出費無料」と書かれていても、以下の3点は、必ず事前に確認しておきましょう:
- 見積書に「搬出費の請求無し」と明記されているか
- 見積書(買取代金の)と別に、搬出費の請求書が存在する場合がある。
- 特殊作業が必要な場合は別途費用になるのか
- 解体、壁の取り外し、仮設工事などがある場合、「無料対象外」とされることがあります。
- 産業廃棄物の搬出について
- プラスチックや木材、紙、ゴムなどは産業廃棄物なので通常は引取してもらえません。またエアコン、古いキュービクルなども同様です。
これらのポイントを曖昧なまま進めると、あとで「話が違う」「追加請求された」というトラブルに発展しかねません。契約前に必ず、見積内容を詳細まで確認することが重要です。
■見積の段階でできる「コスト削減」のアプローチ
搬出費が高くなりそうな場合でも、見積の段階で以下のような工夫をしておくことで、買取価格を下げずに済む可能性があります:
- 他の機械と「まとめて」売る(コストを分散)
- 「ここまでは自社で対応可能」と伝える(例:床固定の解除など)
- 機械を車上渡しにする(買取業者への積み込みは自社のフォークリフトでおこなう)
- 重量屋を自分で手配する(買取業者に頼むより安くなることも)
これらはすべて、業者の手間を減らす=コストを減らす=査定額が上がることにつながります。
■まとめ:見えないコストに“気づける人”が高く売れる
- 搬出費は「無料」のように見えて、実は買取価格にしっかり反映されている
- 特に大型機械や特殊作業が必要な場合は、買取価格が大幅に変動する
- 搬出費の内訳を理解し、現地調査や交渉を活用することで、見積の精度と納得感が上がる
買取金額だけで比較するのではなく、その内訳に「どれだけの搬出費が含まれているのか」を意識することが、最終的に“損をしない機械売却”につながります。
▶ 弊社は工作機械の買取業です。現地調査・搬出費のご相談は無料で対応しております。気になる機械があれば、まずはお気軽にご相談ください。現地の状況や機械の種類に応じて、わかりやすく見積を作成いたします。