アマダがエイチアンドエフを買収。アイダエンジニアリングとのプレス機業界の覇権争いが始まる

日本のプレス機業界に大きな変革の波が押し寄せています。2025年1月24日、アマダがエイチアンドエフを完全子会社化すると発表。買収額は177億円。このニュースは単なる企業買収に留まらず、プレス機業界、さらには金属加工業界全体に大きな影響を与えることになるでしょう。

特に注目すべきは、国内最大手のアイダエンジニアリングとアマダの競争関係が激化する可能性が高いという点です。アマダはこの買収を通じて、小型から超大型プレス機までラインナップを拡充。アイダエンジニアリングの市場シェアを狙う動きが加速するでしょう。

今回は、アマダの買収の背景、アイダエンジニアリングとの競争関係、ドイツのシュラーなど海外メーカーとの関係、そしてプレス機業界・プレス加工業界に与える影響について深掘りしていきます。


アマダの買収戦略とその狙い

今回の買収の目的は明確です。アマダは「長期ビジョン2030」と「中期経営計画2025」に基づき、プレス機市場の支配力を強化しようとしています。

これまでアマダのプレス機は主に中小型が中心でした。しかし、エイチアンドエフの買収により、500トンから3,000トン超の大型・超大型プレス機市場に参入することが可能になりました。これにより、プレス機業界の全方位対応型メーカーとしての地位を確立し、アイダエンジニアリングとの競争に本格的に挑む体制が整います。

さらに、エイチアンドエフは世界初の高速レーザカット装置を含むレーザブランキングラインを開発・納入した実績があります。この技術力を手に入れることで、アマダはレーザ加工技術とプレス機械の統合ソリューションを提供し、競争力を一層強化しようとしているのです。


アイダエンジニアリングとのシェア争い

アイダエンジニアリングは、1917年に創業し、日本国内でトップシェアを誇るプレス機メーカーです。2022年の売上高は約688億円であり、プレス機専業メーカーとして世界で2番目に高い売上高を誇ります。

一方、アマダプレスシステムのプレス部門の売上は204億円(2024年3月期)、エイチアンドエフの売上は209億円(2024年3月期)であり、両社が合併すると合計413億円になります。この結果、アイダエンジニアリングには及ばないものの、コマツ産機のプレス機事業を大幅に上回る規模になることが確実視されています。

アイダの強みは、30トンから4,000トンまでの幅広いプレス機ラインナップと、長年の実績による顧客信頼です。特に、自動車産業向けのプレス機市場では圧倒的なシェアを持ち、家電や電子機器業界でも確固たる地位を築いています。


海外メーカーとの競争:シュラーとの関係

世界最大のプレス機メーカーは、ドイツの**シュラー(Schuler Group)**です。シュラーは主に自動車業界向けの大型プレス機を提供し、特にフォルクスワーゲンやBMWといった大手メーカーの生産ラインを支えています。

アマダがエイチアンドエフを取り込むことで、シュラーとの競争も激化することが予想されます。特に欧州市場では、高精度・高効率の大型プレス機が求められるため、エイチアンドエフの技術を活かした製品展開が鍵となるでしょう。


プレス機械業界に与える影響

今回の買収は、プレス機業界全体の構造を大きく変える可能性があります。これまで、業界はアイダエンジニアリング、コマツ、アマダ、エイチアンドエフの4大メーカーが市場を形成していました。しかし、今回の買収により、主要プレイヤーがアマダ・アイダ・コマツの3社に集約されることになります。

① 業界再編の加速

今回の統合は、さらなるM&Aの呼び水となる可能性があります。中小メーカーの淘汰や、技術革新を加速させる動きが今後増えるでしょう。

② 価格競争の激化

競争が激しくなることで、大手3社は価格引き下げ競争に突入する可能性があります。これにより、特に新興市場向けの価格帯で優位性を持つメーカーが生き残る鍵となります。

③ グローバル市場への影響

アマダがエイチアンドエフを取り込むことで、ドイツのシュラーや他の海外メーカーとの競争も激化することが予想されます。特に欧州市場では、高精度・高効率の大型プレス機が求められるため、エイチアンドエフの技術を活かした製品展開が鍵となるでしょう。


プレス機ユーザーへの影響

この市場再編は、プレス機を使用する製造業者にも影響を及ぼします。

① 設備投資コストの低下

競争の激化により、新しいプレス機の価格が下がる可能性があります。これにより、中小企業でも高性能な設備を導入しやすくなり、製造の高度化が進むでしょう。

② 自動化・スマート工場化の進展

AIやIoTを活用したスマートプレス機の開発が加速し、工場全体の自動化がより進む可能性があります。これにより、労働力不足の解消や生産性向上が期待されます。

③ 需要と供給の変化

自動車業界を中心に、EV化が進む中で、プレス機に求められる技術も変化しています。新しい成形技術や軽量素材対応の機械が求められる中、各メーカーがどのように対応するかが重要になります。


まとめ

アマダによるエイチアンドエフの買収は、日本のプレス機業界の競争環境を大きく変え、アイダエンジニアリング、シュラー、コマツなどとの市場争いを加速させます。

この動きは、プレス機メーカーだけでなく、製造業全体にも影響を及ぼします。今後の市場動向を注視しながら、どのメーカーがリードを取るのか、業界の変革がどのように進むのかを見守っていきましょう。


最後に

弊社では、プレス機などの機械買取サービスを提供しております。不要になったアイダエンジニアリングやアマダ、エイチアンドエフ、コマツのプレス機、そしてマシニングセンタなどの工作機械を買取いたします。ご不要な機械がございましたら、一度ご相談ください。お問い合わせは、下記のリンクからお気軽にどうぞ!

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