自社の工作機械が、ロシアや中国で軍事転用された場合、法的責任は発生するのか?

金属加工業の経営者にとって、自社の工作機械をリユース会社に売却し、海外へ輸出されるケースは珍しくありません。しかし、その機械が軍事転用されるリスクがある場合、どのような法的責任が発生するのか考えたことはありますか?

結論としては、売主としては責任追及される可能性は極めて低いですが、ゼロとは言えません。

特に「外国為替及び外国貿易法(外為法)」に違反する可能性がある場合については知っておくべきでしょう。

外為法違反の可能性と売主のペナルティ

外為法に基づき、軍事転用の可能性がある機械を特定の国へ輸出する際には、経済産業省の許可が必要です。この許可を得ずに輸出を行った場合、輸出を担当したリユース会社が外為法違反で刑事告発される可能性があります。

弊社の場合、いったん日本国内で輸出業者に売却してしまいます。自社では輸出手続きをしないので、ペナルティを課される可能性は限りなく低いですが、当然監督責任はあると考えており、輸出業者の選定は慎重に行っています。

もちろん、機械を弊社に売却したお客様(売主)も、ペナルティを課されることはまずありません。

しかし例外的に、以下のような場合には、弊社やお客様にも責任が問われる可能性がありますので、ご注意下さい。

  1. 輸出先や用途を事前に知っていた場合
    もしお客様(売主)とリユース会社が、輸出先や機械の最終用途について事前に知っていた場合、その責任が問われることがあります。特に、軍事転用の可能性を認識していた場合、共犯として扱われるリスクがあります。
  2. 契約内容による影響
    お客様(売主)とリユース会社の間で交わされた売買契約に、機械の最終的な用途に関する特約が含まれている場合、その内容によってお客様の責任が拡大する可能性があります。ただし、一般的にはリユース会社が自由に機械を処分できる契約となっているため、このリスクは低いでしょう。

まとめ

お客様(売主)が直接的に外為法違反でペナルティを受ける可能性は低いですが、機械が軍事転用されることは心理的に気持ちのいいものではありません。特にリユース会社の選定や契約内容の確認など、売却前のプロセスでしっかりとリスク管理を行うことが大切です。

お問合せやご相談は下記からどうぞ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です